全国11工場(本社工場5工場、子会社のボトリング会社6工場)が、国内の生産現場。毎日約1,099万本(2022年度実績)飲まれているヤクルトの乳製品を生産するために、巨大なタンクをはじめとする最新設備を稼働させるのが機械・電気系技術者の役割です。設備を稼働させるためのエネルギーシステムを日々管理することはもちろん、より合理的な生産ラインの構築を目指し、新しい設備を開発することも求められます。また、乳酸菌やビフィズス菌を生きたまま、そして衛生的に生産する設備を日々進化させていかなくてはなりません。
最初の製造工程である「商品の中身をつくる」は、脱脂粉乳を溶かして仕込乳をつくる「仕込み工程」、仕込乳に乳酸菌シロタ株を入れて培養し、菌液をつくる「培養工程」、シロップ液をつくる「シロップ工程」、菌液やシロップ液を混ぜてヤクルト原料液をつくる「調合工程」があり、生産技術職と製造職が班に分かれていずれかの工程を担当します。いずれの商品も生きた菌を扱うため、どの工程も細心の注意を払って進めていくことが大切です。
STEP.01「商品の中身をつくる」の最終工程である「調合工程」を終えた原料液が、ヤクルトの中身になります。生産したヤクルト原料液をタンクローリーでボトリング工場に輸送した後、「送液工程」でヤクルトの中身を次の工程に送り出し、「充填工程」で商品ラベルをかぶせた容器にヤクルトの中身を充填します。そして、各容器にキャップをつけて密封したら、「集積工程」で決められた本数ずつ包装してパレットに積みます。これらの工程も、生産技術職と製造職が班に分かれて、各業務を担当しています。
工場内の設備を安定稼働させることも、国内工場に勤務する社員の大切な役割です。中でも大切なのが、電気、蒸気、水、エアーを製造現場に送る「エネルギー供給」です。例えば、蒸気の質が悪いと正しく殺菌できないため、ボイラーの点検・維持管理を行います。日々施設管理課の社員が、様々なエネルギー設備の点検を行い、品質を保っています。また、ヤクルトの国内工場はISO14001を取得しており、環境への配慮から騒音や排水対策等も行っています。運用にあたっては法令関係の知識が求められ、エネルギー管理士、公害管理防止者、電気工事士、フォークリフト等の免許が必要となります。これらの資格は業務を通じて取得できます。
自ら製造した商品を、お客さまに手に取っていただく喜び
ヤクルトの商品は、生きた菌を扱っているため賞味期限が決して長くなく、毎日安定して商品を作り続けることが必要です。万が一、設備にトラブルが生じた際には、いち早く問題箇所を発見して復旧させることが大切です。設備工事も、事前の段取りを十分に行ってから臨み、生産をストップする時間を最小限に食い止めます。このように、国内工場に勤務する生産技術職は、問題発見能力や現場対応力が求められます。生産ラインを安定稼働させた結果、自分たちがつくった商品が店頭に並び、お客さまに手に取っていただけることに大きなやりがいを感じます。
開発部が生み出した新商品を、どの工場でどのような方法で生産していくべきか。全国11工場すべての生産体制と設備の状況を把握し、ベストな生産方法を構築することが本店の機能。いわば、開発部と各工場のつなぎ役となるわけですが、そのためには工場の設備に精通していることが欠かせません。将来的な生産計画を見越し、各工場と連携しながら新たな設備の導入なども検討します。
工場で各種機械のメカニズムを学び、機械の更新や修理、日々の作業の改善などに取り組んだ後、本店の生産管理部設備施設課で工場全体の管理を担います。本店の業務は幅広い知識が求められるため、工場勤務時代に自ら考え行動して、積極的に知識を吸収していくことが大切です。
ダイナミックなプロジェクトを自ら動かしていく醍醐味
現在、私は新規設備の導入や新商品のライン導入を担当しています。扱う金額も非常に大きく、予算管理も含めて私たち本店の生産技術職が担っています。工場や関連部署、そして業者と調整を図りながら品質と効率の最適化を目指し、全員が納得する「答え」を見つける力が求められます。ゼロから計画を立てて全国の工場に展開していくため、責任も重大ですが、だからこそ「規模の大きな仕事に携わるやりがい」があると感じています。
生きた乳酸菌を、生きたまま腸内に届ける。その考え方ゆえにヤクルトの商品は、海外でも現地生産されています。ますます拡大する国際事業においては、新たな工場の立ち上げも増えていきます。日本とは異なる法律やビジネス慣習、人材の中、安全・安心な商品を生産するための工場運営を担うのが、海外工場での仕事です。
海外工場に赴任した生産技術職は、新規生産設備や生産ラインの導入、現地社員への技術指導・教育など、現地での工場運営全般を担います。言葉や文化の異なる現地社員や現地の業者、自治体とコミュニケーションを図りながら、国内工場よりもさらに規模の大きなプロジェクトをマネジメントしていく点に、海外工場ならではの特徴があります。
「この国の『ヤクルト』を自分たちがつくっている」という誇り
日本と海外では言葉も価値観も異なるため、海外工場に勤務する生産技術職が想定外の問題に直面することがよくあります。また、日本と違って、ヤクルトをよく知らない現地社員も少なくありません。このような価値観の違いを理解したうえで、現地社員を根気強く指導していくと、やがて仕事を超えてヤクルトのファンになってくれます。「この国の『ヤクルト』を自分たちがつくっているんだ」という誇りとともに、赴任先でヤクルトのファンが増えていくことを心から嬉しく感じています。