ヤクルトにとってCSR調達の推進は、経営理念を実現するための重要課題です。「ヤクルトグループ CSR調達方針」のもと、サプライヤーの皆さまにヤクルトのCSR調達の考え方をより具体的にご理解いただくため目指す姿を明確化し、積極的なコミュニケーションを図ります。
環境・社会に与える影響への配慮やリスクの軽減によりサプライチェーン全体で社会の持続可能性を高めます。
取締役 専務執行役員 生産本部長 土井 明文
2021年11月にイギリスのグラスゴーで開催されたCOP26※では「グラスゴー気候合意」や「森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言」等が策定され、気候変動対策や生物多様性の保全に向け、企業にはサプライチェーンにおける温室効果ガス削減や森林保全に向けたアクションが求められることになりました。
また、国際情勢の混乱による原材料価格の高騰や、急激な円高等調達に関する課題も拡大しています。現在ほどサプライチェーンに注目・期待が集まり、サプライチェーンがもたらす社会への影響を実感することはなかったのではないかと思います。
私どもも今一度、ヤクルトグループの「サプライチェーンマネジメント」のあり方を見つめ直し、環境・社会の持続可能性を本質的に高めることで、サプライチェーンおよびヤクルト事業の強靭化を図っていきます。
※ 国連気候変動枠組条約第26回締約国会議
バリューチェーン環境負荷ゼロ経営を掲げる「ヤクルトグループ環境ビジョン」の実現に向けた施策の一つとして、国内乳製品および医薬品の生産拠点すべての購入電力を2022年4月から再生可能エネルギーに転換しました。化粧品工場も同年7月に再生可能エネルギーに切り替え、乳製品、医薬品、化粧品の国内工場すべてで切り替えを完了しました。これにより、年間約34,800tの温室効果ガス排出量削減につながります。
今後も環境負荷低減に向けたアクションを検討・実行していく所存ですが、当社グループが目指す温室効果ガス排出量ネットゼロは、サプライヤーの皆さまとの協働なくして達成することはできません。また、サプライチェーンにおける強制労働、児童労働、差別、非人道的扱い等の人権課題も解決すべき重要なテーマであり、これらの諸問題に対処していくためにも、CSR調達アンケートやサプライヤーCSRガイドラインを用いたサプライヤーの皆さまとのコミュニケーションが大変重要と考えています。
2021年10月にはサプライヤーの皆さまを対象にCSR調達方針説明会を開催し、合計158社からおよそ400人の方々にご参加いただきました。当社CSR調達方針やガイドライン等について改めてご説明し、サプライヤーの皆さまと課題認識の共有や課題解決に向けた取り組みを確認する大変有意義な機会となりました。
今後もCSR調達に関する自社の取り組みレベルを向上させつつ、サプライヤーの皆さまとともにサステナビリティを向上させるアプローチを実施します。具体的には、国内外のサプライヤーの皆さまへのCSR調達アンケートの展開、国際プラットフォームの活用、原材料の調達目標策定等の具体的アクションを検討・実行していきます。これらの取り組みを通して、グローバルに事業を展開する企業グループとして、持続可能なサプライチェーンの構築に向け、社会の要請に応えてまいりたいと思います。
サプライチェーンにおける環境破壊、強制労働、児童労働などは、企業も関わる国際的な社会問題と認識されています。ヤクルトグループは、原材料などの調達にあたって、品質、価格、納期といった従来の要素に加え、人権・労働・環境・腐敗防止などのCSR要素を考慮するCSR調達に取り組んでおり、「ヤクルトグループ CSR調達方針」や「サプライヤーCSRガイドライン」をサプライヤーと共有しながら推進しています。
ヤクルトグループ サプライヤーCSRガイドライン(642KB)
ヤクルトは、事業を行う国や地域の持続可能な発展に貢献するために、当社の定める品質や安全性の基準をクリアし、安定的に調達できるものを使って現地で生産・販売する「現地主義」でグローバル事業を展開しています。
現在、海外29の事業所を中心に、日本を含む40の国と地域で事業を展開、地域に根差した生産・販売の拠点として事業所や工場を設け、現地社員を積極的に採用しています。
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海外から輸入し国内で最終加工している原材料は、国内調達として集計