ヤクルトグループは「健康で楽しい生活づくり」を目指し、健康に役立つ製品をお届けするだけでなく、出前授業や健康教室など、地域社会の皆さまの健康づくりに貢献する活動を幅広く行っています。
都城ヤクルト販売株式会社では、その活動を一歩進め、認知症の方やそのご家族も安心して暮らせるよう、認知症について正しい知識をお伝えする活動に取り組んでいます。
都城ヤクルト販売は宮崎県南部と鹿児島県の一部を担当エリアとし、約600か所の職場と約21,000軒のご家庭に商品をお届けしています。事業活動を推進するとともに、積極的に健康教室などを実施してきました。
「私たちが目指すのは“すべての方が健康で楽しく暮らせる地域づくり”です。当社エリアでも高齢化は大きな課題になっており、認知症を患う方も増加しています。ヤクルトは、宅配という流通形態を通じて地域と密に接しています。それを強みに、社会的背景を踏まえ、地域に対して何ができるのかという考えが取り組みのベースになっています。」
(都城ヤクルト販売株式会社 社長 大木 洋一)
都城ヤクルト販売株式会社
社長
大木 洋一
都城ヤクルト販売株式会社
専務
上田 利弘
「こうした考えのもと、2009年から『認知症サポーター養成講座』※1の受講を推進しており、社員・ヤクルトレディはほぼ全員が認知症サポーターとなっています。そのうち、講師役のキャラバン・メイト※2は23人と、都城市全体のキャラバン・メイト登録者数の1割を占めています。現在は、社員が講師となって、地域の皆さまに向けて講座を実施し情報を発信する側になっています。さらに、各団体と連携しながら、認知症や高齢者の健康づくりをテーマとした健康教室を実施しています。」
(都城ヤクルト販売株式会社 専務 上田 利弘)
※1 認知症サポーター養成講座
「認知症サポーター」とは、認知症を正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守る応援者のこと。サポーターは「オレンジリング」をつけて活動を行う。
「認知症サポーター養成講座」は、全国キャラバン・メイト連絡協議会による養成講座であり、厚生労働省が推進する認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の施策の一つ。
※2 キャラバン・メイト
認知症サポーター養成講座の講師役。認知症サポーターのうち、キャラバン・メイト養成研修を受けた者。
認知症サポーターキャラバン
「認知症サポーター」のしるしオレンジリング
認知症サポーター養成講座や健康教室の講師役を務める社員の皆さんにお話を聞きました。
「認知症サポーター養成講座では、メディアで話題になった事例や自分の体験も織り交ぜ、わかりやすく説明しています。高齢者になるというのは“誰もが通る道”で、認知症は特別な病気ではない、ということを皆さまにまず知っていただきたい。“誰もが通る道”と認識して、事前に知識を持っておけば負担が軽減できます。」
(都城ヤクルト販売株式会社 営業部 宅配管理1課 課長 森 小夜子)
「受講者からご自身の経験談を教えていただき『その当時に、こういった知識を持っていればよかった』といったお声をいただくこともあります。当社の取り組みをご存じなのはまだまだ一部の方々です。継続して、より多くの活動をしなければならないと感じています。」
(都城ヤクルト販売株式会社 営業部 宅配管理2課 係長 酒井 佳代)
都城ヤクルト販売株式会社
営業部 宅配管理1課 課長 森 小夜子(写真中央)、営業部 宅配管理2課 係長 酒井 佳代(写真右)、直販部 主任 小栗 眞由美(写真左)
「私は健康教室で講師を務めています。認知症の予防は、生活習慣病にならないこと、ひいては腸の健康を保つことがポイントです。受講者はさまざまで、小学生向けに紙芝居で認知症の症状や認知症の方への声掛けの仕方を説明したこともあります。資料はご高齢の方、当事者の方にもわかりやすいよう、字を大きくしたり色づかいを工夫しています。」
(都城ヤクルト販売株式会社 直販部 主任 小栗 眞由美)
同社では、この認知症への取り組みをきっかけに、社員の意識が変化してきています。2016年からは、障がいについて理解し、日常生活において障がい者に簡単な手助けができる人を養成する「あいサポート運動」※が社員主導でスタート。認知症の方、障がいのある方、高齢者から子どもまで、“すべての方”が健康で楽しく暮らせる地域づくりを目指しています。
※ あいサポート運動
日常生活において障がい者に簡単な手助けができる「あいサポーター」となり、障がいの有無にかかわらず誰もが暮らしやすい社会を実現することを目標とした運動。2009年に鳥取県でスタート。あいサポート運動
都城ヤクルト販売 本社での朝礼
“すべての方が健康で楽しく暮らせる地域づくり”に取り組む都城ヤクルト販売では、その一助として、2015年12月から手話学習を導入しています。宅配センターや本社の朝礼では50音や数字、簡単な挨拶を皆で練習します。新入社員研修プログラムにも手話を組み込むほか、講師を招いて勉強会も毎月実施しています。
これまで「バランスのいい食事」「腸の健康」などをテーマに健康教室を実施いただきました。2016年は「認知症」をテーマに、その具体的な症状や対応策などを教えていただきました。お話がとてもわかりやすく、ためになると好評で、毎回たくさんの高齢者が参加しています。座学だけでなく健康体操を途中で入れるなど、構成も工夫されていらっしゃいますね。講師の方には、普段から気さくにお声掛けいただいており、たいへん親しみを持っています。
認知症の問題は、行政と地域の皆さま、企業が一丸となってきめ細かく対応をしていく必要があります。都城ヤクルト販売さんは認知症に熱心に取り組んでおられ、認知症サポート体制整備推進会議では委員としていつも貴重なご意見をいただいています。また、認知症サポーター養成講座の講師役のキャラバン・メイトも多数派遣いただいています。現在は、キャラバン・メイトがより一層活躍できる体制づくりを検討しており、引き続きご協力をお願いします。