1食事の量を制限するダイエットはなぜ失敗しやすいのか
今までと同じように食べているのに、なぜかデニムがきつくなった、あごのラインが鈍くなった…そんなきっかけで始めたダイエット。朝食はスムージー、ランチはたっぷりサラダ、夜は主食抜きでがんばった結果、2キロのダイエットに成功!と、順調に滑り出したはずが、1~2か月後には元の体重に戻ってしまう。そんな経験はありませんか?
太るということは、日常に消費するカロリーを上回るカロリーを摂取していることを意味します。そのため、余分な食事を減らすことがダイエットでは当然の選択です。しかし、そこにだけ着目してもなぜか減った体重をキープすることが難しいですよね。
その理由のひとつがストレスです。たとえば、食事をいつもより減らして、食べたい気持ちを我慢しているとストレスになります。これでは遅かれ早かれ、食べたい気持ちは抑えられなくなるでしょう。
また、食事量が減ると、摂取する栄養素も減りがちです。血液や筋肉の原料となるたんぱく質や鉄分が不足して、体の基礎代謝が落ちてきます。これがもうひとつの理由です。ダイエットで、偏った食事をすると、体に必要な栄養が不足し、筋肉が分解され、筋肉量が減り、その結果、基礎代謝量も下がります。基礎代謝量とは、じっとしていても体が消費するエネルギー量ですから、これが減ると逆に太りやすくなることを意味します。
そう、これらがダイエットの落とし穴。ダイエットをすることで、メンタル的にもフィジカル的にも、逆に太りやすい要因をつくってしまっているのです。
2基礎代謝を高めながらのダイエットが勝利をもたらす
大切なのは基礎代謝。その点をもう少し勉強してみましょう。次の表は厚生労働省が発表している日本人の基礎代謝量の目安ですが、男性も女性も10代のころが最も基礎代謝量が大きく、年齢とともに減っていきます。同じ量を食べ、同じように生活していても、年齢とともに太るのはこのせいですね。
●参照体重における基礎代謝量
出典 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html)
また、体の組織の中で最もエネルギーを消費するのは筋肉ですから、基礎代謝量は筋肉量に比例します。さらに、体温が高いほど基礎代謝量が増えることもわかっています。
ダイエットをする時は食事の量や質を考えつつも、この基礎代謝量が下がらないように注意することが大事なのです。
<基礎代謝を高めるコツ①> たんぱく質をとる
ダイエット中に筋肉量が減らないように要注意。たんぱく質や鉄分がとれるものは減らさないこと。鶏むね肉や豆腐、牛肉の赤身やレバーなどがおすすめ。
<基礎代謝を高めるコツ②> 筋トレをする
同じ体重でも筋肉量が多ければ、それだけで太りにくい体質といえます。まずは、体の中でも大きな筋肉を鍛えるようにトレーニングをはじめてみましょう。
<基礎代謝を高めるコツ③> 体を温める
体温が1℃上がると基礎代謝量が10%以上も増加。長めの入浴や温かい食事、ニンニクやショウガなどの薬味を食べて体温を上げる努力をしましょう。
<基礎代謝を高めるコツ④> 食事はおなかが空いてからゆっくり
間食はもちろん、まだおなかが空いていないのに食べてしまう習慣は脂肪燃焼の妨げになります。空腹感をしっかり感じてから、ゆっくりとよく噛んで食事をすることで、体温も上がり、代謝が活発に。
3毎日コツコツ。余分な脂肪を燃やす「肩甲骨ストレッチ」
さて、ダイエットで勝利する秘策として、最近話題の肩甲骨ストレッチを取り入れてみましょう。そもそも肩甲骨の周辺には褐色脂肪細胞というエネルギーをつくり出し、体温を上げる細胞が集まっています。ここが活発になれば、脂肪が燃えやすい体質といえます。肩甲骨をよく動かし、周囲の筋肉を柔らかくしておくことで、この褐色脂肪細胞に活躍してもらいましょう。
<10分でできる肩甲骨ストレッチ>
- ①まず、両肩をゆっくりと上下に回して、準備します。
- ②長さ60~70㎝ほどのフェイスタオルを用意し、背もたれのない椅子に座ります。
タオルの両端をもって背中の方に回し、息を吐きながらタオルを引っ張ります。
その時、両方の肩甲骨を意識的に引き寄せて近づけます。 - ③引っ張りを10回繰り返し、30秒休んでもう1セット実行。
いかがでしょうか。代謝に着目したダイエットなら、無理な食事制限に頼る必要もありません。知恵と工夫で理想の体に近づきましょう。