2015.9
びっくり新人が仕事のストレスに。今どきの若者をどう育てる?
最近、周囲の人たちを絶句させる行動を起こす、通称「びっくり新人」が世間を賑わせています。
・初出社の日に母親と一緒に来た。
・宛名に「御中」をつけるように言うと「want you」と書いた。
・取引先に謝罪をしに行くことになった。菓子折り代1万円を渡してお菓子を買ってくるように頼むと、1万円分のスナック菓子を購入してきた。
「自分たちの時代では考えられない!」「最近の若者はどうなっているんだ!」と、怒りや嘆きの声が聞こえてきそう……。実際、このような新人たちの教育を担当する先輩社員や上司たちは、大きなストレスを感じながら仕事をしているようです。
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ストレスが爆発してしまった結果、激しい口調で叱責したとしても、改善するかどうかは不透明。それどころか、このご時世、「パワハラを受けた」と告発されるかもしれません。そうなれば、仕事におけるストレスはますます蓄積し、体調を崩してしまう恐れもあります。
「こんなこと、わかっていて当然だろう」と思えることができない若者たち。どのよう指導すれば、成長してもらえるのでしょうか? ただでさえ忙しい毎日、仕事のストレスを少しでも軽減させるため、今どきの若者を上手に育てる秘訣について、社会保険労務士で組織・人事コンサルタントとして活躍する福留幸輔(ふくとめ こうすけ)さんに話をうかがいました。
先輩・上司は理解不能?今どきの若者の一般的特徴
今どきの若者は、「ゆとり世代」や「さとり世代」と表現されますが、若者と接すると、個人差が非常に大きいことがわかります。高い問題意識を持って仕事をしている若者もいる一方で、「これぞ、ゆとり・さとり世代」という若者も。このように、若者に限ったことではなく、ある世代を一括りにするのは無理がありますが、「今どきの若者には次のような特徴が一般的に見られる」と言うことはできるでしょう。
・理屈は立派だが、失敗を恐れて行動しない
・感受性に乏しく、気配りや心配りができない
・叱られることやプレッシャーへの耐性が低い
・「出世(昇進)」「ボーナス」「目標達成時の金銭的インセンティブ」に関心がない
そして、先輩・上司からすると「当然」とも思える一般常識に欠ける傾向にあるため、想像できないような失敗をおかすこともあります。
今どきの若者を上手に育成する3ステップ
このような「今どきの若者」たちの言動にストレスを感じることなく、上手に育成していくためには、3つのステップを着実に進めていくことが求められます。一足飛びに高いレベルを要求してもうまくはいきません。
1.本音を言える信頼関係をつくる
若者の多くは「意見を言っても、どうせ聞いてくれない」と諦めがち。若者を育成するためには、まず、この「諦め」を取り除かなければなりません。若者に対する固定観念を捨て、真摯にその意見に耳を傾け、否定することなくすべてを受け入れてあげてください。「この先輩・上司は自分の意見を受け入れてくれる」という信頼関係を徐々に築いていくことが最初のステップです。
2.徹底的に褒めて小さな達成感を積み上げる
「今どきの若者」は、自信を持っていません。というのも、表面上は自信を持っているように見える場合があったとしても、失敗の経験がない「根拠のない自信」です。そのような自信は、砂上の楼閣のようにすぐに崩壊してしまいます。
したがって、徹底的に褒めることで、小さな達成感を植え付け、「本物の自信」に変えてあげる必要があります。先輩・上司としては物足りないような低い目標設定であっても、目標達成時には力いっぱい褒めてあげましょう。そして、失敗したときにも責めず、一緒に原因と改善策を考えてあげましょう。そうすることで、少しずつ「本物の自信」が芽生えてきます。
3.考えさせる範囲を広げ、意思決定できるようにサポート
自信が芽生え始めたら、次は考えさせる範囲を広げていき、自分で意思決定できるようにサポートしていきましょう。自分で意思決定し、その結果に責任を持てるようになれば、自分の力で成長していくことができます。このように、根気よくサポートしていくことが、若者の育成には必要不可欠です。
一説によると、「最近の若者は……」といった愚痴は、遥か古代の時代から言われていたようです。いっそのこと、「若者たちは、自分たちの時代では考えられない言動をするものだ」と割り切った方が、指導にストレスを感じず、日々の仕事に向き合うことができるでしょう。
また、そう割り切って、どんと構えることが、新人との関係をスムーズにするだけではなく、ストレスによる心身への悪影響を防ぐ術だといえるかもしれません。
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