学術論文確かな検証に裏打ちされた蕃爽麗茶

特定保健用食品として認可されるために、学術論文を提出し、効果効能について検証しています。

グァバ葉熱水抽出物のdb/dbマウスにおける抗糖尿病効果
およびヒト飲用試験による食後血糖値上昇抑制効果

グァバ葉ポリフェノールが、糖の吸収をおだやかにすることを検証しています

考察

今回われわれはグアバ葉熱水抽出凍結乾燥粉末(GvEx)に in vitro において糖類分解酵素活性阻害作用を認めた。GvExは唾液および膵のα-アミラーゼ活性、また小腸粘膜に存在する二糖類水解酵素の活性を阻害することによりデンプン、シュクロース、マルトースからブドウ糖への分解を抑制し、その結果腸管からのブドウ糖の吸収を遅延あるいは抑制することが考えられる。正常マウスを用いた糖負荷試験においてGvExに血糖値上昇抑制作用が認められた。GvExの投与量がシュクロース、マルトース負荷試験に対してデンプン負荷試験ではGvEx250mg/kgと半分量であるにもかかわらず血糖値曲線下面積は大きく減少した。in vivo におけるこの血糖値上昇抑制活性の違いはin vitro におけるGvExのα-アミラーゼに対する50%阻害濃度がマルターゼ、シュクラーゼに対する濃度のそれぞれ約1/4、1/6であったことと類似する。

糖尿病の軽症期においては食後過血糖を抑制するためにα-グルコシダーゼ阻害剤が使われ、効果が認められている(12~17)。GvExにも同様の効果を期待し、糖尿病自然発症モデルマウスへ7週間投与を試みた。db/dbマウスは最初肥満、過食、膵島肥大、高インスリン血症を示すことからII型糖尿病モデルとして扱われるが、病態の進行につれて膵臓β細胞変性、壊死と低インスリン血症を示すようになりI型糖尿病類似の病態を示すようになり、いったん増加した体重は減少を始める(18)。このような特徴は対照群で顕著に示され、投与3週目までは体重増加が見られたが、投与5週目(12週齢)より体重が減少する個体が出てきた。一方、GvEx群では投与5週目からの体重減少は抑制された。

投与7週目の随時血糖値には差は見られなかったが、平均血糖値を示すHbA1c%はGvEx群で有意な減少を示した。この結果は正常マウスへの糖負荷試験でも認められたように、摂食時の血糖値の上昇が期間をつうじて継続的に抑制された結果であろうと考えられる。このことはランゲルハンス氏島細胞への負担も軽減し(19,20)、ランゲルハンス氏島の面積がGvEx群で広く維持される傾向にあることも反映していると考えられる。ランゲルハンス氏島細胞の破壊が軽減された結果、血糖値上昇に対するインスリン反応は高く、インスリン分泌は認められるが、破壊の進んだ対照群は高HbA1c%、低インスリン血症(I型)となる。Fig.5に示すようにインスリン濃度はGvEx群で高い傾向を示し、低インスリン血症抑制が示唆された。

また、この動物は糖尿病の進行に伴って明らかな腎臓病変を示すことが報告されている(8.9)。腎臓病変数は対照群に比べてGvEx群で有意に低く、糖尿病性腎症の進行抑制が示唆された。これらのことはGvEx投与によりII型からI型への病態の移行遅延を示唆している。

次にグアバ茶のヒトへの飲用試験を行い、食後血糖値への影響を調べた。

今回は年齢が40歳以上、BMI22以上の中年で肥満気味な19名の対象者についてグアバ茶飲用の影響を調べた。食後30、90、120分の血糖値は有意に低下し、AUCは有意に低下した。また、FBGが100mg/dl以上の対象者においてはグアバ茶飲用により食後血糖値は30、120分値で減少し、AUCの有意な低下を示した。一方、FBGが100mg/dl以下のヒトにはGvExの影響は認められなかった。FBGについては、値が安定しており、日ごとの再現性が高いため糖尿病の診断基準の一つにされている。基準値として、FBG100mg/dl以下が望ましいとされている。今回の飲用試験の結果からFBG100mg/dl以上の対象者では食後血糖値の上昇はFBG100mg/dl以下のヒトに比べて高いことが示され、グアバ茶飲用効果はFBG100mg/dl以上の対象者で顕著であった。健常人であれば血糖調節は厳格に営まれ食後血糖値が160mg/dl以上を超えることはほとんどないが(21)、この食後の血糖調節に異常をきたすと、耐糖能障害から軽症糖尿病へと進行する。空腹時血糖値が正常範囲内にあっても、食後に軽度に上昇した血中ブドウ糖がインスリンの分泌やインスリンの作用に障害を与える結果、さらに血糖の上昇を招いて糖代謝は悪循環に陥る。わずかな血糖値上昇がインスリンの分泌を促進することから、健常人であっても、中年以降で肥満気味のヒトまた空腹時血糖値が少し高めのヒトにとっては食後の血糖値上昇を抑えることは、糖尿病予防に対して意義があることと考えられる。グアバ葉は古くからお茶として飲用されてきており、ラットの実験でも安全性に関しては確かめられている(7)。今回われわれはHbA1c%の低下作用、糖尿病の病態進行の抑制作用を動物実験で調べ、グアバ茶のヒト飲用試験で食後血糖値上昇抑制効果をお茶として熱水抽出物で認めた。

このグアバ葉熱水抽出物の糖類分解酵素阻害作用を示す物質については明らかではないが、通常飲用する条件で得た浸出液を緑茶、紅茶と比較するとグアバ葉にはタンニン量が多いことから(22)、ポリフェノール類の可能性が考えられる。グアバ葉のポリフェノールについては奥田らによって構造決定が行われ(23)、これらの物質の生理作用も調べられている(24.25)。

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