学術論文確かな検証に裏打ちされた蕃爽麗茶
特定保健用食品として認可されるために、学術論文を提出し、効果効能について検証しています。
実験方法
1.試料の調製
(1)グアバ葉抽出物の調製
乾燥グアバ葉100gを2literの蒸留水中で、80℃、30分抽出した。4重にしたガーゼでろ過し、ろ液を凍結乾燥した。抽出物の収量は乾燥葉に対して約14%であった。この熱水抽出凍結乾燥粉末を以後GvExと略す。調製したGvExを in vitro の酵素阻害実験、動物への投与試験に用いた。
(2)グアバ茶飲料の調製
熱水2literに乾燥グアバ葉100gを入れ、95℃、10分かくはん抽出し、抽出液を遠心分離(1500rpm×10min)した。抽出液は官能検査の結果から飲みやすい濃度としてタンニン(10)65mg/100ml(水道水)に希釈した。この溶液1mlはα-アミラーゼ活性の測定条件で、45%阻害を示した。α-アミラーゼ阻害活性がないことを確認したうえで、酸化防止剤としてアスコルビン酸ナトリウムを50mg/100ml(グアバ茶)添加し、重炭酸ナトリウムにてpH6.2に調製した。飲料190mlは90℃で充填し、レトルト殺菌(121℃、10min)した。
2.GvExのマルターゼ、シュクラーゼ、α-アミラーゼ活性に及ぼす影響
(1)酵素液
マルターゼ、シュクラーゼについては、市販ラット腸管アセトン粉末(SIGMA社製)に9倍量の56mMマレイン酸緩衝液(pH6.0)(11)を加え、氷中にてガラスホモゲナイザーで均質化した後、遠心分離(3000rpm、10min、4℃)し、上清を粗酵素液とした。マルタ-ゼ反応には粗酵素液を20倍希釈、シュクラーゼ反応には2倍希釈して用いた。
α-アミラーゼは豚膵液由来のα-アミラーゼ(SIGMA社製)を267.5Unit/mlになるように0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で調製した。
(2)活性の測定
a:マルターゼおよびシュクラーゼ活性の測定
2%マルトース、あるいは2%シュクロース溶液0.6mlに2%GvEx液を等量添加し、37℃にて5分間保温後上記粗酵素液を0.6ml加え、37℃にて30、60、90、120分間反応させた。糖類、GvEx、酵素液は緩衝液で溶解した。対照には緩衝液を添加、ブランクには失活酵素を用い、反応停止は沸騰水中で10分間加熱して酵素を失活させた。反応停止後、遠心分離(3000rpm、10min)し、その上清中のグルコ-ス量を高速液体クロマトグラフィーで測定した。分解率は反応に用いた基質のマルトースあるいはシュクロースが完全に分解された場合に生成されるグルコース量を100%とし、それに対してGvEx添加、無添加の反応から生成されたグルコ-ス量を%で示した。阻害活性は次式により算出した。
b:α-アミラーゼ活性測定
α-アミラーゼ活性の測定は市販アミラーゼ-テストワコー(和光純薬工業(株)製)を参考にして行った。4%デンプン溶液(0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0))1mlに同じ緩衝液で溶解した2%GvEx 1mlを添加し、37℃、5分間保温後、α-アミラーゼ溶液を0.02ml(5.35Unit)加え、37℃にて、30、60、90、120分間反応した。対照には緩衝液、ブランクには失活酵素を用い、反応停止は沸騰水中で10分間加熱して酵素を失活させた。反応で生成したマルトースを高速液体クロマトグラフィーで測定し、酵素活性を測定した。阻害活性はマルターゼの場合と同じにして計算した。
高速液体クロマトグラフィーの条件を下記に示す。
カラム:Shodex Ionpak KS-802(昭和電工(株)製)、カラム温度:80℃(シュクラーゼ反応の場合は50℃)、溶媒:水、0.5ml/min、検出器:示差屈折計、検出器感度:8~16×10-5(RIUFS)、試料注入量:20μl、内部標準物質としてアラビノースを用い、グルコース、マルトースを標準品として検量線を引き定量した。
3.動物における活性測定
(1)正常マウスへの糖負荷試験
6週令のICR 雄マウス(日本SLC)を購入し、MF固形飼料で1週間飼育した後実験に用いた。7週令(体重約40g)で1晩絶食させ、翌朝9時にGvEx500mg/kg(体重)を生理食塩水で溶解し、胃内ゾンデにて投与した。対照には生理食塩水を投与した。30分後にシュクロース、マルトースをそれぞれ2g/kg(体重)投与した。可溶性デンプン負荷試験にはGvExを250mg/kg(体重)を胃内ゾンデで投与し、30分後に可溶性デンプン2g/kgを投与した。GvEx投与後の血糖値への影響をみるため、採血はGvEx投与前、GvEx投与30分後、各糖液投与後30分ごとに120分まで尾静脈より行い血糖値を測定した。血糖値の測定にはグルコースCIIテストワコー(和光純薬工業(株)製)を用いた。
(2)糖尿病モデルマウスへのGvEx投与
雄性db/db(C57BL/KsJ、db/db)(日本クレア(株))を6週令で購入し、1週間MF固形飼料(オリエンタル酵母(株))で予備飼育後、体重および血糖値からGvEx投与群9匹と対照群10匹の2群に分け、7週間個別飼いした。動物飼育室条件は実験期間中を通じて恒温(24±1℃)、恒湿(60±5%)、明暗周期は12時間(明周期:8時30分~20時30分)とした。体重は週1回測定した。飼料はMF固形飼料を用い、飼料摂取量は1週ごとに測定し、試験期間中の摂餌量を計算した。飲水量は毎日測定し、GvExの投与は前日の飲水量と体重からGvEx 摂取量が250mg/kg(体重)/dayとなるように水道水に混ぜて、給水ビンより与えた。対照群は水道水とした。
解剖はエーテル麻酔下開腹して、心臓より採血し、抗血液凝固試薬であるノンクロット-D(第一化学薬品(株)製)0.04mlを乾燥させて血液と混合し、遠心(12,000rpm、5min)した後、血漿を得た。採血後腎臓、膵臓を摘出した。
血漿中の血糖値とインスリン(エルジア-Insulin、国際試薬(株)製)の濃度を測定し、糖化ヘモグロビン(Hb A1c%)は投与5週目(尾静脈血)と7週目(解剖時、心臓血)をDCA-2000(バイエル・三共(株)製)にて測定した。
摘出した腎臓は10%緩衝ホルマリン液で、膵臓はブアン液でそれぞれ固定し、パラフィン包埋して3~5μの病理組織標本を作製した。膵臓におけるランゲルハンス氏島(ラ氏島)の数と大きさについては平面的に包埋したパラフィンブロックから上、中、下と場所の異なる3切片についてHematoxylin-Eosin染色(H-E染色)を施した。ラ氏島の大きさの測定はリアルタイム画像処理解析装置ルーゼックスF(LUZEX F)を用いて、3切片のうちで最も大きなラ氏島の面積を計測してその個体の値とした。
腎臓についてはPerodic Acid Schiff(PAS)染色を施し、個体ごとに50個の観察可能な糸球体についてメサンギウム基質の肥厚の程度を写真(Fig.6)に示す程度に分類した。腎臓病変の判定は+(moderate)以上の肥厚程度を示す糸球体数を数えた。
4.グアバ茶のヒト飲用試験
飲用試験には中高年で肥満気味のヒト、すなわち年齢が40歳以上、BMIが22以上を対象者とした。対象者の特性をTableIIIに示したが、平均年齢が47.9±5.1歳、平均BMI 24.8±1.5、平均空腹時血糖値(FBG)103.0±14.3mg/dlであった。
本試験はヘルシンキ宣言に従ってグアバ茶の食後血糖値上昇抑制試験の内容についてヤクルト本社中央研究所対人委員会の審議、承認を得た後実施した。試験対象者には試験の主旨、試験サンプル、試験方法について事前に説明を行い、被験者の同意を得たうえで本試験を実施した。
対象者は前夜10時以降絶食し、翌朝9時~10時の間に空腹時血糖値を測定した。測定後、直ちに190mlの白湯あるいはグアバ茶とともに米飯200g、おかかふりかけ2gを食べ、食後30分ごとに150分まで採血した。試験は各人につき2回行い、最初は白湯を飲用し、1週間後にはグアバ茶飲用を行った。採血は各自ペン型採血針を用いて行い、小型電極式血糖値測定機器(アントセンスII、バイエル三共(株)製)で血糖値を測定した。
本試験は古江医師(帝京大学医学部)の指導を受けて実施し、試験には臨床検査技師を含む試験担当者が立ち会った。
5.統計計算
統計ライブラリーI(Yukums社製、統計解析ソフト)を使用し、Student化されたt-検定、Paired t-検定を行った。