ヤクルトは、事業に関わりが深く特に重要と考える3つの領域「健康」「地域社会」「環境」を中心として、世界中で持続可能な社会を実現するための取り組みを進めています。
2020年、私たちの生活は新型コロナウイルス感染症により一変しました。今、私たちは、お客さま、従事者の安全を守り、社会を支援するためのさまざまな取り組みを世界中で展開しています。
こうした状況で私があらためて強く意識したのが、代田イズムの一つ「予防医学」です。もともとヤクルトは、感染症で命を落とす子どもたちを救いたいという代田 稔の想いから生まれた企業です。確固たる研究に基づく商品や、さまざまなサービスの提供をとおして、人々の健康で楽しい生活づくりに貢献するという事業そのものがCSRであり、SDGsの各目標への貢献に深く関連していると考えています。
状況は刻々と変化することが予想されますが、今後も、商品やさまざまな取り組みを通じてお客さまと社会のためにできることを考え続けます。そのために、引き続きお客さまをはじめとするステークホルダーの皆さまのお声にしっかりと耳を傾け、CSR活動を発展させていきます。
代表取締役社長
世界40の国と地域に健康をお届けしているヤクルトグループ。事業やCSR活動の特徴を数字でご紹介します。
※ 数値は2019年度実績
アレルギー疾患でお悩みの方は増加しており、抗アレルギー効果のある食品・飲料へのニーズが高まっています。乳酸菌「ラクトバチルス プランタルム YIT 0132」を含む発酵果汁飲料の継続摂取が花粉飛散時期の花粉症症状を軽減させ、過剰なアレルギー反応を制御する細胞の減少を抑制することが明らかになりました。
「ヤクルトグループCSR調達方針」に沿って、取引先と連携・協力しながら、人権、労働、環境、腐敗防止などに配慮した調達を推進しています。
2018年度から取引先に対してCSR調達アンケートを実施し、各社の取り組み状況を把握しています。
2019年度は102社に対して実施。アンケート結果は回答各社にフィードバックしており、CSR調達に関わる取り組みの改善を促しています。
「ヤクルト」類や「ジョア」のシュリンクラベルを付ける工程では、冷却のために水を使用しています。そこで本社工場・ボトリング会社では、水を使わない設備仕様の導入を展開しており、2019年度は福岡ヤクルト工場にてこの仕様に切り替え、使用する水の量と排水量の削減を図りました。
シュリンクラベルの収縮トンネル
ヤクルトでは、他社メーカーとの共同配送(荷役・倉庫・配送の共同化)を推進し、物流効率化とCO2排出量削減を図っています。
健康情報をお届けする「出前授業」「健康教室」の活動が食育活動として評価され、2年連続で一般社団法人日本食育学会「食育推進企業・団体」に認定されました。
健康教室(インドネシアヤクルト)
ヤクルトはSDGsの達成に貢献するために、事業を通じてさまざまなアクションを実行しています。
今、地球は経済や社会、環境の面でさまざまな課題を抱えています。
現在のまま人口の増加や消費が進むと、2030年には地球が2つ必要になるといわれているほどです。
そんな中、2015年に国連サミットで採択されたのが、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)。世界が抱える問題を解決し、持続可能な社会をつくるために世界各国が合意した17の目標と169のターゲットが定められており、「誰一人取り残さない」ことを誓うものです。
あらゆる年齢のすべての人々の健康的生活を確保し、福祉を推進する
すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
従事者が小学校などに出向き、腸の大切さや「いいうんち」を出すための生活習慣について、模型などを活用して、わかりやすく説明する「出前授業」を行っています。
大人向けには、各地域の販売会社の従事者等が講師となり、センター(ヤクルトレディの販売拠点)や公共施設等を利用して、腸の大切さやプロバイオティクス、季節に流行する疾患等、幅広いテーマで「健康教室」を開催しています。
「ヤクルト中央研究所でおなか研究員になろう!」を開催 (2019年8月)
ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する
持続可能な消費と生産のパターンを確保する
ストロー貼付を廃止した商品
(左)日本:Newヤクルト10本パック
(右)マレーシア:ヤクルトエース
気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
太陽光パネルの設置
(岡山和気ヤクルト工場)
本社工場やボトリング会社では、環境に配慮した設備の導入や、照明のLED化、効率の良い生産などでCO2削減を推進しています。
水の循環利用、運用見直しなどで水使用量を削減し、徹底した排水管理で河川への影響を最小限にしています。クリーンで再生可能なエネルギーである太陽光発電も取り入れています。
ヤクルトは2020年2月に「新型コロナウイルス総合対策本部」(対策本部長:代表取締役社長)を設置してグループ全体で
感染防止を図り、事業活動の継続に努めました。国内外のヤクルトグループ従事者とその家族、お客さまの安全確保を
最優先とし、政府・社会からの要請に応え、地域社会との連携を通じて可能な範囲で事業継続を図りました。
ヤクルトは、「健康」「地域社会」「環境」をCSR重点3領域と定め、
グローバルでCSR活動を展開しています。
ヤクルトは2018年に「ヤクルトグループCSR調達方針」を、2020年には「サプライヤーCSRガイドライン」を
策定し、CSR調達を推進しています。サプライヤーの皆さまとヤクルトの双方で環境・社会に与える影響への
配慮やリスクの軽減によりサプライチェーン全体で社会の持続可能性を高めていきます。
CSR調達とは、企業が原材料などを調達するにあたり、品質、価格、納期といった要素に加え、人権・労働・環境・腐敗防止などのCSR要素を考慮し、サプライヤーと協働して持続可能な社会を目指す活動を指します。
企業が取引先とともに構築するサプライチェーンはグローバル化が進み、環境破壊、強制労働、児童労働などといった、世界で起きている社会課題に企業は無関係ではいられなくなってきています。
こうした社会課題の解決に向けて企業とサプライヤーが協働し、社会全体の持続可能性を高めることがCSR調達の狙いです。
大手アパレルに製品を供給する縫製工場が入った商業ビルが違法改築により崩落し、死傷者が多数発生。調査の過程で過酷な労働環境も明るみになり、企業がサプライヤーの人権を軽視し、
安全衛生管理を怠っているとして強く糾弾されました。
化粧品のパール顔料の原料となる雲母は、インドの採掘現場での児童労働が確認されていました。複数業者の転売を経て大企業に卸されるため、その追跡は困難でしたが、責任を重くみた化粧品大手が中心となり「責任ある雲母イニシアチブ」が発足、
雲母採掘の健全化が図られました。
日本で働く外国人労働者は166万人(2019年10月末時点)を数え、年々増加しています。しかし、外国人労働者の過重労働や、不当に低い賃金での労働などの社会問題が起こっており、日本国内でも 「強制労働」は身近な問題です。