地域社会との共生
マテリアリティ
ヤクルトのアプローチ
ヤクルトグループは、「人も地球も健康に」のコーポレートスローガンのもと、地域と共生し、環境と調和しながら事業活動を継続することが重要だと認識しています。世界に8万人以上いるヤクルトレディによる商品のお届けという独自の地域ネットワークも生かし、「安全・安心」な地域づくりに積極的に参加し、持続可能な社会の実現に向けて地域社会の発展に貢献していきます。
担当役員メッセージ
取締役 専務執行役員 食品事業本部長 化粧品事業本部長
梛良 昌利
ヤクルトが大切にする「地域密着」の考え方
ヤクルトは日本全国に101の販売会社があり、地域に根差した事業活動を行っています。商品をただお届けするだけでなく、おなかの健康に寄与する商品の特性をきちんとお伝えし、理解して飲んでいただくことで地域社会の健康づくりに貢献したい。そのような想いを大切にしています。1963年に誕生した「ヤクルトレディ」による独自の宅配システムは、昨年度60周年を迎えましたが、その想いは今も変わりません。手から手へ商品をお届けする「ヤクルトレディ」に象徴されるように、地域密着で皆さまに寄り添いながら、商品と健康情報をお届けすることで、皆さまの健康で楽しい生活づくりに貢献することが、私たちの使命であると考えています。
「地域共生社会」の実現に向けて
近年の社会構造の変化や、人々の暮らしの変化による人と人のつながりの希薄化は、今、大きな社会課題となっています。この課題を解決するために、「地域共生社会」の重要性が叫ばれています。これは、人と人、人と社会がつながり、一人ひとりが生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らしていくことのできる地域や社会を創るという考え方です。この「地域共生社会」の実現のために、ヤクルトグループは、商品や健康情報のお届け以外にも、さまざまな取り組みを行っています。小学校などで腸の大切さやからだに良い生活習慣を分かりやすく説明する「出前授業」や、地域の方々を対象とした「健康教室」の開催などがその活動です。他にも、自治体や警察と連携して行う「地域の見守り・防犯協力活動」や、一人暮らしのお年寄りの安否を確認する「愛の訪問活動」など、「安全・安心」な地域づくりに貢献する活動にも積極的に取り組んでいます。
これらの活動は、地域の皆さまに貢献したいという、全国の販売会社とヤクルトレディの想いから成り立っている活動です。これからも、独自の販売システムを持つヤクルトグループならではの「地域共生社会」実現に向けた取り組みを進めてまいります。
地域の皆さまとの信頼と絆を成長の原動力に
お客さまをはじめとした地域の皆さまとの信頼関係や絆は、ヤクルトグループにとって何にも代えがたい財産です。そして、私たちが今後、世界の人々の健康ニーズに応えられる「ヘルスケアカンパニー」へと進化するための大きな原動力です。
これからも、ヤクルトは、地域社会の一員として地域の文化・慣習を尊重し、地域社会と共生する事業活動を推進し、成長を続けることで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
2024年11月
取締役 常務執行役員 国際事業本部長
島田 淳一
世界の人々の健康で楽しい生活づくりのために
世界の人々の健康を守りたい。これはヤクルトが創業時から変わらず抱いている想いです。この想いを実現すべく、1964年に台湾ヤクルトが営業を開始したことを皮切りに、その後、アジア・オセアニア、米州、欧州に進出しました。現在、海外では39の国と地域で事業を展開し、約5万人のヤクルトレディを含む、7万5千人以上の従事者が理念を共有し活躍しています。
海外でも変わらぬ、現地に寄り添う姿勢
海外に進出するとき、私たちは現地生産・現地販売を基本とする「現地主義」を大切にしています。従業員やヤクルトレディを現地で積極的に採用することで、商品と共に健康情報をお届けし、お客さまや地域社会の健康づくりに貢献するという、私たちの使命を現地に根差すことができます。あわせて、その国や地域の就労機会の提供や、女性の社会進出にも貢献できると考えています。
また、「地域密着」という考え方も、「現地主義」と同様に大切にしています。現地の生活文化や食習慣に合わせた、健康に関する情報誌の作成やシンポジウムなども開催し、また、地域コミュニティや職場、学校等での「健康教室」も、世界のあらゆる場所で行っています。他にも、ピンクリボン活動への協賛や、植林等の環境保全活動といった社会貢献活動も、各地域のニーズや状況に応じて実施しています。
まだお会いできていないお客さまのために
私たちが目指すのは、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献することです。しかしながら、世界にはさまざまな理由で健康を手にできていない人々がまだたくさんいらっしゃいます。一日でも早く、一人でも多くの人々の健康づくりに貢献できるよう、「予防医学」の考え方や、「プロバイオティクスの有用性」を発信し、多くの人々に健康をお届けしていかなくてはなりません。
そのためにも、私たちはより多くの人々に、商品を手にしていただく方法をさらに研究していきます。まだお会いできていないお客さまの健康に貢献できる日を胸に、そして、これまでどおり、「現地主義」や「地域密着」といった考え方を大切にし、お客さま一人ひとりと、さらには、地域社会に寄り添いながら、グローバルでの成長を加速させてまいります。
2024年11月
主な取り組み
「出前授業」と「健康教室」で健康で楽しい生活を応援
腸の大切さやプロバイオティクス、季節に合わせた健康情報、からだに良い生活習慣を分かりやすく説明する、地域の方々を対象とした「健康教室」や、小学校などに出向いて行う「出前授業」を世界中で実施しています。出前授業は、日本で約23万人、海外では約333万人、健康教室は、日本で約37万人、海外では約1,021万人が参加しています(2023年度)。
健康教室(インドネシアヤクルト)
地域の「安全・安心」のお手伝い
国内では、一人暮らしのお年寄りの安否を確認する「愛の訪問活動」、自治体や警察と連携して行う「地域の見守り・防犯協力活動」等、「安全・安心」な地域づくりに貢献する活動にも積極的に取り組んでいます。これらの活動を支えるのは地域の販売会社とヤクルトレディであり、地域の皆さまに貢献したいという想いから成り立っています。また、海外においても、高齢者の見守りをはじめとした、社会的に脆弱な立場にある人々に対しての支援活動などを行っています。
「益起楽享生活」で高齢者自宅を訪問
社会的弱者への支援
インドネシアヤクルトでは、2022年から孤児院で生活する子どもたちへの「ヤクルト」の寄付活動を行っています。2023年は3か所の施設に計856本の「ヤクルト」を寄付しました。孤児院に「ヤクルト」を届ける際は、商品の紹介に加えて、歯みがきの仕方を伝えるなど健康や衛生に関する指導も行っています。
中国ヤクルトは、同国のメディアグループ「第一財経」が実施する山間部の貧困家庭の子どもたちに朝食を提供する公益活動「朝食1人前」(朝ごはん活動)に参加しています。この活動は、参加する企業が特定の日の朝食代を寄付するもので、中国ヤクルトは、2013年から11年連続で毎年5月29日の世界腸健康デーに1万元の協賛を続けています。2023年は、中国ヤクルトグループの担当者が雲南省の小学校を訪問し、子どもたちに商品を提供するとともに、健康教室を開催、腸の健康の重要性や乳酸菌のはたらきについて説明しました。
ボーイスカウトへの協賛
ボーイスカウトは子どもたちの、心身ともに健全な人材を育成することを目的とする世界的な教育運動です。
ヤクルト本社は本団体の理念に賛同し、「日本スカウトジャンボリー」や「国際障がいスカウトキャンプ大会日本アグーナリー」へのサポートを継続しています。
Pick Up!
担当者に聞きました
地域とのさらなる「つながり」を築き、子どもをめぐる社会課題を解決する(群馬ヤクルト)
地域とのさらなる「つながり」を築き、子どもをめぐる社会課題を解決する(群馬ヤクルト)
群馬ヤクルトは「共助社会の担い手になる」というビジョンのもと、社会的な課題解決の取り組みのひとつとして、子どもの居場所づくりや子育て世代の不安解消に貢献するヤクルト子ども食堂「GENKI★食堂」を実施しています。
この「GENKI★食堂」の活動について、担当者が紹介します。
子どもたちに関わる地域の課題解決に向けて
群馬県でも、「孤食や個食で子どもたちへの影響が懸念される」「困ったときに頼れる場所がない」といった子どもたちに関わる地域課題がありました。群馬ヤクルトには県内各地にサービスセンターがあり、これをコミュニティの場として活用することで、地域社会とのつながりをより強化し、課題解決に貢献できるのではないかと考えました。また、当社サービスセンター内にあるキッズルームの管理栄養士や保育士は、「子どもの食育」「子育ての悩み」について発信することもできるため、健康社会の実現に寄与する活動として発展させることも可能です。こうした考えから、2021年10月にスタートしたのがヤクルト子ども食堂「GENKI★食堂」です。
「GENKI★食堂」は、近隣の親子連れを対象に、食事の提供や親子で楽しむイベントなどを実施する取り組みです。開催は毎月第4土曜日で、参加費は高校生以下の子どもは無料、大人は300円です。2022年度は、12回開催し、計360人(うち、子ども195人)が参加しました。食事の提供以外に「管理栄養士による食育教室」「健康管理士による健康教室」「防災の日にちなんだ消火訓練」「子育て支援員による保育サポート」のほか、7月の七夕、8月のスイカ割り、9月のおはぎつくりなど、季節にちなんだイベントも開催しています。
「GENKI★食堂」の実施風景
「GENKI★食堂」から地域のつながりが広がる
2021年10月にスタートした際は、「GENKI★食堂」の認知を広めて集客することに苦労しましたが、最近では参加者のリピート・クチコミにより毎回定員に達するなど、好評をいただいています。当初は使い捨て食器を使用していましたが、段階的に洗って再使用できる容器を取り入れ、子どもたちにSDGsを説明しながら使っています。
運営面では、土曜日開催のため、担当スタッフの振替休日の取得が課題となっていました。そこで2023年度から社内でプロジェクトチームを立ちあげ、スタッフを増員しました。さらに、社会福祉士を目指す地元大学生のボランティアも毎月交代で参加することになり、大学との新しいつながりもできました。
参加者からは、「家庭では好き嫌いをして食べない野菜を『GENKI★食堂』に参加すると食べるようになった」「毎日、フルタイムで働いているため、月に一度でもこのような場があるとうれしい」「保護者間で学校の情報共有が図れる」など、うれしい声をたくさんいただいています。
回覧板を使った開催の告知などで、ご協力いただいている自治会に会長からは「今は地域のつながりが希薄になっていて、こういった行事のやり手もいない。企業が率先してくれてありがたい」との感想が寄せられました。「GENKI★食堂」をきっかけに、自治会から健康教室開催の依頼を受けたり、自治会行事の景品用などに商品をご購入いただいたりするなど、地域との関係が深まったように感じています。
提供メニューの例
共助社会の担い手として地域社会とともに課題解決を目指す
「GENKI★食堂」の活動を通じて、前橋市で子ども食堂を運営している団体とのつながりもできました。貧困世帯を対象に食事支援などを積極的に行っている団体に、就業支援としてヤクルトのお仕事を紹介したこともあります。また、群馬県主導の「子ども食堂フェア」にも、実行委員として運営に携わりました。県の子育て支援課とも関係構築を図り、地域の課題解決に向けて、協力関係をつくりたいと考えています。
「GENKI★食堂」の取り組みを通じて、本業とは違う分野の人とのつながりが生まれ、地域からの支援が得られる一方、ヤクルトが地域にとって信頼のおける存在であることを伝えることができました。これからも、共助社会の担い手として、地域とのさらなる「つながり」を築き、必要とされる企業になることを目指します。
防災の日にちなんだ消火訓練
自治体と協働して開催したお餅つき大会
担当者のコメント
群馬ヤクルト販売株式会社
総務部 託児運営課 課長
小谷野 和子
担当者のコメント
「GENKI★食堂」を実施して2年が経過しました。たくさんの方に継続的にご利用いただいていることから、子どもの居場所・子育て世代の不安解消につながっていると感じます。
また、今年度はプロジェクトチームを立ち上げ、会社全体で「GENKI★食堂」に関心を図り、運営を行っています。今後はこの活動を継続すること、そして他エリアでの実施拡大を図り、より多くの地域の方々との温かいつながりを築いていきたいと思います。
群馬ヤクルト「GENKI★食堂」 のホームページはこちら
https://www.gunma-yakult.co.jp/genki/
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ヤクルトグループ社会貢献活動方針
ヤクルトグループ社会貢献活動方針
ヤクルトグループは、社会に寄与する「良き企業市民」として、地域社会と協調しながら積極的に社会貢献活動を推進していきます。
策定 2018年3月20日