~2024年3月期 第2四半期 決算説明会 11月14日(抜粋)~
はじめに
第2四半期の連結全体の決算については、売上高は増収、営業利益と経常利益は増益という結果でしたが、海外飲料食品事業において、特に中国の販売本数が経済環境の急激な悪化の影響を受け、当社の計画を大きく下回って推移しています。
通期業績予想については、中国事業の厳しい現状を踏まえ、海外事業を中心に下方修正を行うこととしました。
自社株買い
資産の有効活用とともに、資本効率の向上と株主還元の強化を図ることが、企業価値の向上に資するとの判断に至り、自己株式の取得を実施することとしました。
配当について
今期の配当については、中間配当金を前期と比べ10円増配の55円としています。
期末配当金予想は28円、株式分割前の換算では56円となり、前期と比べ11円の増配となる予定です。
各事業の取り組み
国内飲料食品事業
「Yakult(ヤクルト)1000」、「Y1000」が牽引役となり、ヤクルトのブランド価値が高まった結果、乳製品全体の販売本数の水準は押し上がりました。足元でも全体の販売本数は、1日当たり1,100万本を維持しています。
また、供給体制については、来春に向けて段階的にさらなる増産計画を予定しています。富士小山ヤクルト工場については、操業開始に向け、着々と準備が進んでいます。
宅配チャネル
「Yakult(ヤクルト)1000」の供給上限は、3月下旬の生産能力増強により、1日当たり250万本となりました。
しかし、「ヤクルト届けてネット」の新規申し込みを中止していたことなども影響し、新規のお客さまは大きく増加しておらず、伸長は鈍化し、踊り場にあります。そのため、下期からは、改めて既存のお客さまの毎日飲用を促進し、飲用の定着を図る販売促進活動を活発化させています。
そして、新規のお客さまへのアプローチについても、徐々に本格的な活動を広げていく予定です。また、「ヤクルト届けてネット」においては、8月から新規受注を再開しており、お客さまの数を徐々に増やしています。
広告活動については、ヤクルトレディのイメージ訴求や「Yakult(ヤクルト)1000」のテレビCMを増やし、露出を増やしていきながら、売り上げ増大を図っていきます。
店頭チャネル
「Y1000」の販売実績は順調に推移しています。4月に生産能力を増強しましたが、いまだ十分な供給量とは言えず、一部で品薄状態が続いています。供給体制の増強を一日も早く進めてまいります。
Newヤクルト類については、9月に40円から48円へ価格改定を実施しましたが、新しい価格が定着するまでに少し時間がかかります。現在、マーケットごとの販売促進活動を強化し、地道な価値普及活動を継続しておりますので、「Y1000」と併せて、店頭での効果的な売り場づくりを提案しながら、販売本数を積みあげていきたいと思います。
国際事業
本格的なポストコロナとなる今期は、従来の活動を再開し、成長路線に回帰する年と位置づけていました。しかし、各国の状況は異なり、安定的に成長する事業所と前年を下回る事業所に分かれてきています。
安定成長の事業所の代表格としては、メキシコ、アメリカ、前年を大きく下回る事業所としては、中国、インドネシアとなっています。
メキシコ、アメリカは、価格改定を実施している中、販売本数も前年を上回っており、値上げと本数増の両方の押し上げ効果が売上高、利益の増大に結びついています。
中国、インドネシアは1月に10%前後の価格改定を実施していますが、販売本数は前年と比べて10%以上減少しており、売上高、利益ともに前年を下回っています。
前年を下回る事業所を安定成長の事業所でカバーしていきますが、しばらくは成長率の停滞が続くと思います。しかし、海外事業の潜在的な成長ポテンシャルが高いことは変わりませんので、少し時間はかかりますが、各国の状況に合わせた活動が実を結び、海外全体が徐々に上向いていくと考えています。
メキシコ
8四半期連続で販売本数が前年を上回り、コロナ禍前の2019年の水準に回復しています。毎年、価格改定をしながら前年の販売本数を上回っていく、かつての成長路線に戻っていますので、今後も安定的に販売本数を積み重ねていけると考えています。
アメリカ
2022年5月の価格改定後も伸長が継続しています。1日当たりの販売本数は70万本に近づいてきており、このままの伸長ペースが続けば、数年後には第1工場であるカリフォルニア工場の生産能力の上限に達してしまいます。
したがって、物流面の効率化も望める南東部に工場を建設し、将来的な需要増に対応していく検討に入りました。生産する商品や稼働時期などは、今後、精査していきますので、具体的なことが決まり次第、お知らせしたいと思います。
中国
2023年度は、経済活動の再開によって、販売本数は上向くと期待していました。しかし、予想以上に中国経済の回復が遅れており、消費の鈍化は進んでいます。第3四半期、7月から9月の販売本数の前年比は70%を下回り、1日当たりの販売本数は500万本台で推移しています。
このような厳しい状況の中、販売本数の回復に向け、営業施策を見直し、できることから取り掛かっています。例えば、これまで中小都市は大型店舗を中心にした展開でしたが、小回りの利く中小規模の営業拠点をつくり、中小型店舗の開拓・納品をきめ細かくできるような活動を始めています。また、ECでの需要に応えるため、これまで以上にECチャネルの強化に取り組んでいきます。
しかし、活動が奏功し、実績に結びつくまでには、相応の時間がかかります。現地のマネジメントとの連携を密にし、現状把握と今後の施策を話し合い、試行錯誤を繰り返しながら回復への糸口をいち早く見つけていきたいと考えています。
インドネシア
販売本数が前年を下回っている背景について、外部要因はインフレによる消費の鈍化、内部要因はコロナ禍で対面での教育ができなかったことによる販売力の低下でした。
しかし、内部要因であった販売力の低下については、ヤクルトレディ、営業社員への対面での教育を昨年末より再開しており、「売る力」が回復していると現地から聞いています。
マンパワーの向上が販売本数に表れてくるには、時間が必要だと思いますが、少しずつ上向いてくることを期待しています。
新領域への展開
7月28日に株式会社ジャパンペットコミュニケーションズと資本業務提携を行い、「ヤクルト独自のガラクトオリゴ糖を使用した伴侶動物向け商品の展開」、そして、9月29日に「ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社からの植物性ヨーグルト事業の取得について」を発表いたしました。
大きな売上高、利益に成長するのは、まだ先となりますが、「ヘルスケア・カンパニーへの進化」に向けて、一歩一歩、着実に歩みを進めています。
医薬品事業
10月24日に「当社がん関連医療用医薬品の高田製薬への販売移管・製造販売承認の承継に関する基本合意書締結について」発表いたしました。
これから、高田製薬への「事業引き渡し」に向けた準備に取り掛かりますが、当社医薬品をお使いいただいている患者さまや医療関係者にご迷惑をかけることのないようにいたします。
結び
最後になりますが、当社を支えるステークホルダーの皆さまのご期待に応えられるよう、今後も多くのことに取り組んでまいります。
皆さま方には、引き続きご指導ご鞭撻のほど、お願い申しあげます。
株式会社ヤクルト本社
代表取締役社長
成田 裕
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