人も地球も健康に Yakult

今後の経営展望について

~2023年3月期 通期 決算説明会 5月12日(抜粋)~

はじめに

2023年3月期の売上高は、4,830億円、営業利益は660億円。売上高、各段階利益は過去最高となりました。
2024年3月期については、売上高5,310億円、営業利益755億円、親会社に帰属する当期純利益585億円、1株当たり当期純利益は374円83銭という連結業績予想を発表しました。

配当について

「継続的な増配を目指すことを最優先とする」という配当方針のもと、昨年5月に1株につき9円増配、11月には更に9円の増配、年間配当金を90円としました。今期についても、企業業績の進捗を踏まえつつ、1株につき20円の増配、年間配当予想を110円と発表いたしました。

各事業の取り組み

国内飲料食品事業

好調な推移を続ける「Yakult(ヤクルト)1000」、「Y1000」が牽引役となり、ヤクルトのブランド価値が高まった結果、乳製品全体の販売本数の増加に結びついています。
一方、供給体制については一部で品薄状態が継続しており、「Yakult(ヤクルト)1000」、「Y1000」だけではなく、乳製品全体のバランスも考えながら、拡充を検討しています。富士小山ヤクルト工場の操業開始は、2024年3月を予定しています。当社協力会社の敷地内に生産子会社を設立することは初めての試みですが、さまざまな方法を模索しながら、供給体制を整えてまいります。

宅配チャネル

今期、「Yakult(ヤクルト)1000」の販売目標を1日当たり250万本といたしました。3月下旬に生産能力を拡大しましたが、まだ十分な供給量とは言えません。お待ちいただいている多くのお客さまにご不便をおかけしており、大変申し訳なく思っております。供給体制の増強を一日も早く進めてまいります。
また、重点課題として、ヤクルトの宅配の要であるヤクルトレディ組織の拡充にも力を入れていきます。ヤクルトレディの人数は、ここ数年、横ばい傾向にあります。処遇の改善、労働環境の整備、教育の充実を進めたことにより、離職人数は減少傾向にありますので、今後は、働き手目線の募集条件や働き方を提示することで採用の間口を広げていきたいと考えています。また、長く働いていただくために、売り上げの高い、核となる扶養外ヤクルトレディも増やしていきます。
今期はヤクルトレディ組織の誕生60周年を迎えます。宅配組織の基盤強化を図り、ヤクルトの魅力をより多くの方に伝えられる組織づくりに注力します。

店頭チャネル

今期、「Y1000」の販売目標を1日当たり95万本といたしました。4月に生産能力を拡大しましたが、こちらも十分な供給量とは言えず、品薄状態が続いています。
しかし、「Y1000」の導入をきっかけとして、売り場が活性化し、お客さまが増えました。Newヤクルト類や「ヤクルトファイブ」の販売本数も好調に推移していますので、今後もニーズを捉えた施策の展開などを推進し、トライアルだけではなく、リピート購入を増やす取り組みを継続していきます。

国際事業

コロナに関する規制緩和に応じて、事業所ごとに活動再開、組織強化に取り組んでいます。一方、経済動向などに鑑み、2022年、2023年と各国の状況に合わせて、価格改定を実施してきました。また、「ヤクルト」やカロリー・糖質低減タイプの商品に加えて、高菌数の高付加価値商品の導入も積極的に展開しています。
本格的なポストコロナとなる今期は、従来の活動を再開し、成長路線に回帰する重要な年と考えています。

中国

2022年度は厳格なゼロコロナ政策が継続し、当社の事業にも大きな影響がありました。2023年度に入り、経済活動が順次再開されていますが、リオープニング効果はこれからと考えています。コロナ禍で事業活動が思うようにできなかった3年間でしたが、現在は、制約なく営業活動ができる環境になりました。
短期的には、店頭サンプリング活動、出前授業、健康教室、工場見学など、得意とする対面でのお客さまへのアプローチを進めるとともに、キー・オピニオン・コンシューマーによる体感情報の発信やライブコマースの活用などSNSを使った情報提供機会をさらに拡大します。また、中長期的には、私たちの強みである宅配にも注力し、ヤクルトレディ組織の拡大、そして既存市場の深耕を進めてまいります。先行地域での好事例がありますので、このノウハウを他の地域へ水平展開していきます。

インドネシア

2022年度の第2四半期から販売本数が前年を下回っています。外部要因としてはインフレによる消費の鈍化、内部要因としてはコロナ禍で対面での教育ができなかったことによる販売力の低下が挙げられます。昨年終わりごろから、ヤクルトレディ、営業社員への対面での教育を再開しておりますので、徐々に「売る力」が回復し、販売本数の増加にも結びついてくると思います。長年、築きあげた組織力は健在であり、加えて、ヤクルトレディ数や取引店舗数は順調に増加していますので、継続して販路拡大を進めていきます。

メキシコ

6四半期連続で販売本数が前年を上回り、回復フェーズに入ったと考えています。販売本数やヤクルトレディ数はコロナ禍前の水準に戻り、取引店舗数も着実に増えていますので、以前のような成長路線を作りあげ、販売本数を積み重ねていきたいと考えています。

アメリカ

2022年度も2桁の本数成長となりました。当初から営業活動を行ってきたカリフォルニア州を中心とする6つの州においては、1店舗当たりの販売本数が継続して増え、市場の深掘りが進んでいます。また、取引店舗数も順調に増加しており、深耕と拡大が両輪で展開されています。2022年度の半ばから、対面でのサンプリング活動も再開しており、今後も継続した伸長が期待できる事業所です。

医薬品事業

今期も4月に薬価改定が実施され、医薬品事業全体では、約10%の引き下げとなりました。がん領域の競争激化などで年々、事業環境が厳しくなっていますので、今後の方向性を検討していきます。

結び

ESGに配慮した経営にも引き続き、取り組んでまいります。健康産業のパイオニアとして、ヤクルトグループは、創業当時から大切にしてきた「人」のチカラと「和」の精神を一番の原動力と考え、従業員やヤクルトレディをはじめとする「人」が、健康でいきいきと働きつづけることができる環境づくりに努めています。
健康保持・増進のため、専任部署を設置して「健康経営」を推進しており、6年連続で「健康経営優良法人・ホワイト500」に認定されています。
今後もお客さまに「健康」をお届けする会社として、「健康経営」を推進し、企業価値の向上をめざしていきます。

皆さま方には、引き続きご指導ご鞭撻のほど、お願い申しあげます。

株式会社ヤクルト本社
代表取締役社長
成田 裕

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