人も地球も健康に Yakult

今後の経営展望について

~2021年3月期 通期 決算説明会 5月14日(抜粋)~

はじめに

先日お知らせしましたとおり、このたび、私はヤクルト本社の社長職を退き、取締役専務執行役員の成田 裕が新社長に就任することが内定いたしました。

私が代表取締役社長として在任していた10年の間、全力をあげて取り組んできたことの1つに、ヤクルトグループの21世紀における事業の基盤づくりとして策定した「Yakult Vision 2020」の推進があります。
少し具体的なお話をさせていただきましょう。

主な事業の現在の状況と今後について

国内飲料食品事業

国内飲料食品事業につきましては、商品価値向上に伴う価格改定の実施と、高単価・高付加価値商品の発売により、売上と収益の改善を図りました。
例えば「Newヤクルト」ですが、2013年に1本当たり65億個だった乳酸菌 シロタ株を200億個に増やし、22年もの間、据え置いてきた価格を改定(35円⇒40円)しました。その後、「ジョア」、「ソフール」、「ミルミル」、そして「ヤクルト400」と、順次価格改定を行い、営業利益率の改善を図りました。

そして、高単価・高付加価値商品として、2019年10月に「Yakult(ヤクルト)1000」、2020年1月に「ヤクルト400W」を発売しました。「Yakult(ヤクルト)1000」については、発売当初から目標を上回る実績で推移しており、この4月から販売地区を全国に拡大しました。大変多くのお客さまから、機能を実感できたというありがたいお声をいただいております。ストレスや睡眠という現代社会における新たな需要を喚起するとともに、この「Yakult(ヤクルト)1000」でヤクルトのブランドロイヤリティを向上させたいと思っております。

また、「Yakult(ヤクルト)1000」の販売本数の増加は、ヤクルト本社だけでなく販売会社の収益改善、さらにヤクルトレディの収入アップという好循環を生み出しています。この「Yakult(ヤクルト)1000」を今後の国内事業を担う大型商品に育て上げることは、後継者にバトンタッチしたいと思います。

国際事業

国際事業につきましては、アジア地域を中心とした販売本数の増加と、新たな国、地域への進出を積極的に進め、販売対象人口の拡大を図ってまいりました。現在、日本を除くと39の国と地域で展開し、1日当たりの乳製品販売本数は海外だけで3,000万本を超すまでになりました。

2020年は新型コロナウイルスの影響により、海外全体での販売本数は前年をとらえることができませんでしたが、アメリカやヨーロッパなどでは堅調に販売本数を伸ばすことができました。これは、消費者のプロバイオティクスに対する期待が高まり、「ヤクルト」の需要が拡大したのだと思っています。

今後の海外事業の見通しについては、依然として新型コロナウイルスは収束していないものの、新型コロナウイルス感染症による影響が一巡したことで底打ちは済んだと考えています。個人消費が元の水準に戻るにはしばらく時間が必要なことから、販売本数の急回復は難しいと思っていますが、着実に実績を積み上げていけると考えています。

中国

中国においては新型コロナウイルスの収束は早かったものの、量販店への来店客数の減少、消費マインドの減退、店頭における販売促進活動の規制など、さまざまな要因により成長は鈍化しています。
当社の中国事業は2002年に広州エリアに進出後、上海、北京、そしてその他の都市へと販売エリアを拡大し、19年を経て1日当たりの販売本数は700万本というところまで築き上げてきました。しかし、人口約14億人のうち、ヤクルトを買うことができるのは半分強の7億6千万人です。まだ道半ばであると認識しています。引き続き、販売エリアの拡大と、既に進出しているエリアにおいては、深掘りを進めてまいります。

米国

米国は、2007年にカリフォルニア州において本格販売を開始し、南西部6州を中心に事業を展開してきました。地道な活動によって「ヤクルト」の認知は進み、販売本数増につながっています。そして足元では全50州への展開も徐々に進み、スーパーへの納品も広がりを見せています。メキシコ、ブラジルと比べると単価が高いこと、そしてコロナ禍であったにもかかわらず、2020年度の伸び率を見ると、今後も収益貢献に期待ができる国だと思っております。

結び

全世界の人口は78億人と言われており、われわれがカバーしているエリアの人口は約23億人です。「世界の人々の健康に寄与する」には、まだまだヤクルトを普及する努力を続けなければなりません。

「世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献します」という企業理念の実行により、ヤクルトグループは今後も持続的な成長を図ってまいります。
新体制となった後も、引き続き、皆様のご高配をたまわりますよう、よろしくお願い申し上げます。

株式会社ヤクルト本社
代表取締役社長
根岸 孝成

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