~2020年3月期 第2四半期 決算説明会 11月12日(抜粋)~
はじめに
第2四半期の決算内容は、売上高2,019億円、営業利益237億円となり、わずかながら減収・減益となったものの、ほぼ前期並みの結果となりました。
併せて、本日発表しました通期業績予想は、為替と各事業セグメントの進捗を見直した結果、売上高を110億円、営業利益を25億円それぞれ引き下げ、売上高4,090億円、営業利益460億円といたしました。
各事業の取り組みについて
国際事業
中国
中国における当社を取り巻く環境は、米中貿易摩擦の影響による消費低迷、現地乳業メーカーによる競合品の参入、そしてeコマース市場の拡大等、以前と比べて大きく変化してきており、当社事業においてもその影響が出ています。
一方、当社の中国事業は、営業開始から17年を経て、ようやく総人口の約半分にあたる7億人の方々がヤクルトを手にすることができるネットワークを構築したところです。
引き続き、開拓の余地がある中国市場にアプローチをし続け、今後も中・長期的な持続的成長を目指してまいります。
直面している課題の一つとして、ハイパーマーケット、スーパーマーケットでの売上減少があります。これに対しては、個人商店の店舗数増加に加え、学校、病院など、新たな販売チャネルづくりを行なうことで、対策を図っていきます。
また、拡大を続けているeコマース市場への対応ですが、現時点ではチルド商品を取り扱うショップは限定的であるため、天猫、京東といったeコマースサイト経由でのヤクルトの販売本数はまだ1%程度です。しかしながら、今後はeコマース市場におけるチルド商品の取り扱い増加も考えられることから、市場の変化を注視し、柔軟に対応を進めていきます。
さらに、宅配部門においては、中国におけるSNS「We chat」を活用した受注システムやキャッシュレス決済を導入し、お客さまの利便性の向上とヤクルトレディの業務効率化を進めていきます。
中・長期的な成長のための取り組みとしては、引き続き新たな販売地域への展開と、既存地域の深掘りを進めていきます。今年6月には新たな地域に1つ、既存地域に2つ、計3拠点を開設しました。今後も毎年複数の拠点を開設し、新たな販売対象地域の拡大と、既存販売地域の深掘りを進めてまいります。
そして、生産体制の拡充も併せて行なっていきます。今年3月に佛山工場、6月には無錫第2工場棟での稼働開始により、中国全体では1,420万本/日の生産体制となりました。さらに、2022年4月には、無錫第2工場での生産を開始することも発表しました。今後見込まれる需要拡大にも対応できるよう、計画的な生産体制の強化を図っていきます。
ミャンマー
インドシナ半島南西部に位置するミャンマーにおいて、今年8月1日からヤクルトの製造・販売を開始しました。
当社はグローバル企業を目指して世界各国に事業展開し、アジア地域においても順次、進出を果たしています。当社が未進出だったASEAN3か国、具体的には、ミャンマー、ラオス、カンボジアですが、この3か国の中で最大の人口を有し、健康に対する意識も高まっているミャンマーにおいて、今般、製造・販売を開始しました。
ヤンゴン都市圏に集中し、宅配と店頭での展開をスタートさせたばかりですが、ミャンマー市場におけるヤクルトブランドの構築と浸透を図ってまいります。
米州
米州地域の事業収益の核となっているのはメキシコです。メキシコは、米州地域の売上の約60%、営業利益でもかなりの割合を占めています。販売本数の持続的な成長に加え、インフレによる目減り分を毎年の価格改定により補っています。メキシコでは、今年も2月に約5%の値上げを実施しました。売上高の継続伸長と安定した営業利益は、米州地域全体の高い収益性の維持に貢献しています。
そして、人口大国であるアメリカです。2007年から本格販売を開始した南西部6州における地道な取り組みが実を結び、アメリカにおける販売本数の約70%を占めると共に、全体の成長ドライバーとなっています。現在、この6州で培ったノウハウを、既に展開中の中西部29州に拡げ、深掘りを図っているところです。今後、人口が集中している東部15州についても段階的なアプローチを図り、アメリカ全土へ拡大してまいります。
医薬品事業
当社医薬品売上の約60%を占めている「エルプラット」については、10月の薬価引き下げ幅が期初予想よりも大きかったものの、最新の治療法や適正使用の情報提供活動が功を奏し、使用量が期初予想を大幅に上回ったことから、売上計画を上方修正しています。引き続き、売上の確保と維持を図ってまいります。
そして、他社とのアライアンスについてです。
先月、日本セルヴィエ社とのプロモーション契約を発表しました。これは、転移性膵臓(すいぞう)がんの治療薬、「イリノテカンリポソーム製剤」のプロモーション活動を当社が行なうという内容です。膵臓がんはがん死亡のうち4番目に多い部位であり、がん死亡全体の9.2%を占めています。当社が保有するがん領域での専門性とネットワークを活かし、治療選択肢が限られている膵臓がんの患者さまに対する治療薬として、貢献していきたいと考えています。他社とのアライアンスについては、引き続き積極的に進めてまいります。
また、新規後発医薬品については、今年6月から販売を開始した「カペシタビン」や「ゲフィチニブ」に続く、新たな後発品の上市を目指してまいります。
国内飲料食品事業
商品展開
10月1日から「Yakult(ヤクルト)1000」を発売しました。この商品は、生きた「乳酸菌 シロタ株」を、1本100mlに1000億個含むといった高密度の状態にすることで、一時的な精神的ストレスがかかる状況での「ストレス緩和」「睡眠の質向上」の機能がある、当社初の「機能性表示食品」です。1本130円、1都6県において先行販売を開始しています。お客さまからは機能を実感する声を多数いただいています。ヤクルトレディによる訪問販売を中心に、一部の大手百貨店における限定店舗や自動販売機でも販売しています。店舗担当者様の期待を大幅に上回る販売本数となっている店舗もあり、好スタートを切っております。
さらに、本日「ヤクルト400W」のリリースを行ないました。
「ヤクルト400」のシリーズ品として、生きて腸内に達するプロバイオティクスである「乳酸菌 シロタ株」と、プレバイオティクスである腸内の乳酸菌を増やす「ガラクトオリゴ糖」を一緒に摂ることができる、宅配部門初の「シンバイオティクス」商品です。1本100円、来年1月から九州地区での限定販売を開始します。
「Yakult(ヤクルト)1000」、そして「ヤクルト400W」などの高付加価値商品の販売をスタートさせ、順次全国展開を図ってまいります。
宅配チャネル
宅配チャネルの要であるヤクルトレディについては、より生産性の高い組織づくりを推し進めることで、販売実績の拡大を目指していきたいと考えています。そのため、業務効率化の手助けとなる労働環境整備を引き続き進めてまいります。また、あわせて処遇改善として、教育制度の充実や社員化への検討も進めています。ハード面だけでなく、ソフト面においても、ヤクルトレディが働く環境整備を行なっていきます。
また、新たなお客さまづくりのチャネル展開として、昨年9月から全国導入となった「ヤクルト届けてネット」があります。「キャッシュレス対応」「日中不在でも届けてもらえる」といった「利便性」だけでなく、「お店で買えない高付加価値商品の取り扱い」といった「限定感」も評価していただいています。さらに多くの方にご利用いただけるように、認知度アップを推し進めてまいります。
他社にはない、ヤクルト独自の宅配チャネルを、時代にマッチした組織にアップデートさせることで、お客さま満足度の向上を図ります。
そして、新たな高付加価値商品「Yakult(ヤクルト)1000」、「ヤクルト400W」を、今後の我々の将来を担う基幹商品となるよう育てていくことで、ヤクルトレディはもとより、グループ全体の収益改善につなげていきたいと考えております。
むすび
目標達成に向け、各事業部門をはじめ全社一丸となって取り組んでいきます。引き続き、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げる次第です。
株式会社ヤクルト本社
代表取締役社長
根岸 孝成