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今後の経営展望について

~2019年(平成31年)3月期 第2四半期 決算説明会 11月9日(抜粋)~

はじめに

根岸でございます。
本日、東京証券取引所におきまして、平成31年3月期第2四半期決算を発表いたしました。
第2四半期の決算の内容は、販売本数を伸ばした国際事業が牽引して、全体で増収・増益となりました。
併せて、本日発表しました通期業績予想は、各事業セグメントの収益を見直した結果、営業利益を当初予想から15億円引き上げ、売上高 4,180億円、 営業利益 480億円といたしました。

各事業の取り組みについて

国内飲料食品事業

第2四半期に該当する7月から9月については、西日本の豪雨に加え、生命に危険を及ぼすような記録的な猛暑や相次ぐ台風の襲来、さらには猛烈な台風21号の後に北海道胆振東部地震がおこるなど、日本各地で自然災害に見舞われました。被害に遭われた方々に対して、心よりお見舞い申し上げます。地域活動を重視する当社グループは、できる限りの支援をしておりますが、1日も早い復興をお祈り申し上げます。
これらの自然災害による当社への影響ですが、工場の生産設備については、大きな被害が無かったことから、製造への影響はありませんでした。しかし、販売活動については、主に近畿地方から西日本において、通常の活動を中断した地域がありました。このような状況もあり、7月から9月までの1日平均乳製品販売本数は、前年をわずかに下回る結果となりました。

ヤクルトブランドの訴求について

「ヤクルトブランドの訴求」については、2年前からマーケティング投資を拡大し、各メディアを通じて、商品価値の向上を図ってきました。今期は「Newヤクルト」「ヤクルト400」の訴求に加え、乳酸菌 シロタ株とガラクトオリゴ糖を含んだ高付加価値商品「シンバイオティクス ヤクルト W」の広告も展開し、スーパーマーケットやCVSでの販売活動をサポートしました。
一方、消費者の間で「ヤクルト」と「ミルミル」の双方を飲用して、その体感情報をSNSにアップするなどの動きがみられました。このような機会を捉え、「乳酸菌 シロタ株のヤクルトブランド」に加えて、「大腸で働く、ビフィズス菌 BY株のミルミルブランド」にも注力し、双方の飲用をお勧めする活動を展開しております。9月には、ミルミル類のパッケージデザインをリニューアルいたしました。同時に広告を展開して、販売現場の活動をバックアップいたしました。このような背景から、ミルミル類の販売本数の伸びは、乳製品全体を上回って推移しております。
また、テレビ離れが進む若い世代に対しては、インターネット上の動画サイト「YouTube」に、当社の公式チャンネルを開設するなど、Web広告への展開も進めております。

販売チャネル別の取り組み

宅配チャネルでは、インターネットからの24時間の受注に対して、ヤクルトレディが商品のお届けを行う「ヤクルト届けてネット」の展開を9月から全国に拡大いたしました。先行して導入をしていた地域では、お客さまから「注文が楽、支払いが便利」などのお声をいただいております。このシステムの認知度を今後も継続して積極的にあげていくことで、日中にお会いできない方々との接点を増やしていきたいと考えております。
店頭チャネルでは、当社の最重点市場であるスーパーマーケットにおいて、各販売会社の「フィールドスタッフ」による売り場づくりと「プロモーションスタッフ」によるお客さまづくりの活動を、引き続き、積極的に展開し、売上高の拡大を図っています。また、全国各地の取引先やオピニオンリーダーなどへ商品価値を積極的にお伝えすることで、ドラッグストアや給食市場等の販路拡大にも注力していきたいと考えております。

医薬品事業

今期は、薬価の引き下げや主力薬剤である「エルプラット」の後発医薬品への置き換えの進行により、厳しい状況は続いておりますが、売上高は、当初の目標を上回って推移しています。
「エルプラット」については、これまで、大腸がん・胃がん・膵がんの領域で使用されてきましたが、小腸がんへの使用についても公知申請が認められ、9月に承認を受けました。小腸がんの患者数は決して多くはありませんが、抗がん剤の先発医薬品メーカーとして、MRの活動を通じ、情報提供を行っていきます。
また、サノフィ社が製造・販売する抗がん剤「ザルトラップ®」についても、共同販促を通じて浸透を図ることで、がん化学療法の新たな治療の選択肢の提供に貢献していきたいと考えております。
そして、6月に米国のベラステム社と、抗がん剤「デュべリシブ」について、「日本における開発および商業化に関する独占的ライセンス契約」を行い、将来に向けた布石も打っています。「デュべリシブ」は、導入元のベラステム社が米国において「再発または難治性の慢性リンパ性白血病・小リンパ球性リンパ腫 および 再発または難治性の濾胞性リンパ腫」について、米国食品医薬品局(FDA)から9月に承認を得ています。当社としても、今後、日本国内での販売に向け、臨床開発を一層円滑に進めてまいります。

医薬品事業に関しては、回復に暫く時間が必要であると思っていますが、将来に向けた準備を着実に進めてまいりたいと考えております。

国際事業

中国

中国では、1月に広州を除いたエリアで、6年ぶりとなる、約9%の値上げを行いました。その後、上半期に該当する1月から6月の販売動向においては、1日平均販売本数は14%の伸長が見られ、値上げ後も堅調に推移しました。足元の7月から9月については、生産能力の関係で供給不足がありましたが、単月では、1日平均販売本数が1,000万本を超えた月もあり、着実に販売本数を伸ばしています。これから冬場に向けての販売活動の充実を図るとともに、生産面においては、2019年3月の佛山工場、6月の無錫工場第2工場棟の稼動により、最需要期に向けて、生産体制も充実させてまいります。

お客さまづくりを支えるマーケティングについては、販売エリアの拡大を背景に、数多くある地方テレビでの広告展開から、より広範囲に発信できる衛星テレビでの広告展開へ移行し、コスト効率を高めています。一方、スマートフォンによる電子決済が進む中で、インターネットテレビやSNS上でのWeb広告にも力を注いでいます。

店頭での露出をさらに高めていくための営業現場での取り組みについては、今期は1月に広東省中山市、6月に貴州省貴陽市に新たな販売拠点を設け、現在、中国全体では43か所の販売拠点となりました。それぞれの販売拠点では、大手スーパーに加え、個人商店等の新たな店舗開拓を行うことで取引店舗数を拡大し、ルートセールスの基盤強化を図っています。組織的には、各販売拠点のリーダー、さらに数か所の販売拠点を管轄するエリアマネジャーにも多くの現地社員が登用され、その役割を果たしています。今後もさらに市場拡大および組織拡大が進むことから、現地の幹部社員の人材育成には特に力を入れていきます。
総人口が14億人の中国におけるヤクルト事業は、販売対象地域をようやく7億人の市場へ広げてきましたが、その市場浸透率を表す人口比は、まだ1%強であり、水準は高くありません。加えて、未販売地域には、ヤクルトを待っている人が数多くいらっしゃいます。中国の市場において、既存の販売対象地域の深耕と、新たな販売対象地域の拡大を続けてまいります。

インドネシア

今期は、天候不順や個人消費減退の影響が緩和され、販売本数の伸びは回復してきました。新たな需要増に対応していくため、4月にスラバヤ工場の生産能力を増強し、スカブミ工場と合わせたインドネシア全体の生産能力は、日産720万本から850万本へ増強しました。
インドネシアのヤクルトレディ数は、9月末現在、9千人近い規模になりましたが、直近1年間で、約800人増えています。社員およびヤクルトレディのスキルアップという従事者の教育に力を入れた組織づくりを通じて、近年中にヤクルトレディ1万人の体制をつくり、販売本数の拡大につなげていきたいと思います。
なお、インドネシアでは、7月、8月にロンボク島で、9月にはスラウェシ島で、さらに10月にはジャワ島の東部で大きな地震が発生し、スラウェシ島では、大きな津波被害も発生しました。被害に遭われた数多くの方々に、心よりお見舞いを申し上げますとともに、現地において、できる限りの支援をしてまいりたいと思います。

米州

まず、ブラジルでは、販売本数は依然として厳しい状況が続いています。政治や経済が不安定な中、ヤクルトレディなどのモチベーションアップを図るために、今年7月に、昨年8月以来となる約5%の値上げを実施いたしました。経済が本格的に回復して、個人消費がさらに高まり、ヤクルトの販売本数が回復することを期待しています。
一方で、ブラジルとは対照的にメキシコの販売本数は堅調に推移しています。メキシコでは、インフレを考慮し、長年にわたって毎年2月に値上げを実施しており、今期も約4%の値上げを実施いたしました。しかし、メキシコシティなどの都市部市場と地方市場の双方で、また、チャネル別においても、宅配および店頭の双方で販売本数を伸ばしています。
そして、米州を構成するもう1つの国がアメリカです。2007年にカリフォルニア州で本格的に販売を開始し、南西部を中心とした6州で事業を展開していました。その後、2016年からウォルマートなどの大手流通チェーンを中心に中西部へ展開し、現在は東海岸を除いた35州まで販路を拡大しております。近年中に全50州への拡大も視野に入ってきました。販売本数の規模は、ブラジルやメキシコにはまだ遠く及びませんが、将来的には米州の柱の1つとして業績に寄与することを期待しています。

むすび

10月28日に3年ぶりとなる「2018ヤクルト世界大会」を京都市にて開催いたしました。京都は、当社の創始者である代田 稔が、乳酸菌 シロタ株の強化培養に成功した縁の深い場所でございます。当日は、この地に国内外から選ばれたヤクルトレディや従業員など、総勢で約2,700人が集結し、表彰式典を行いました。
ローカルテレビ局や新聞社など報道関係者による取材もあり、外部機関の方からも高い関心をいただきましたことを大変嬉しく思っております。また、世界大会の開催を通じて、改めてヤクルトグループの一体感や力強さを感じることができ、非常に心強く思いました。参加したヤクルトレディや従業員の意欲が向上し、それぞれの国において、今後のますますの活躍を確信しております。

私たちはこれからも世界の人々の健康に寄与すべく、プロバイオティクスの普及に邁進してまいります。

ご清聴ありがとうございました。

株式会社ヤクルト本社
代表取締役社長
根岸 孝成

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