~2015年(平成27年)3月期 第2四半期 決算説明会 11月7日(抜粋)~
はじめに
根岸でございます。
本日、東京証券取引所におきまして、平成27年3月期第2四半期決算を発表させていただきました。
それでは、主要な事業部門の今後の取り組みについて、お話したいと思います。
事業部門別の取り組みについて
国内飲料食品事業について
宅配チャネルでは、ヤクルトレディの数が、減少傾向にあることから、持続的成長を目指すためにも、体制強化が必要です。
そこで、全国の販売会社においては、ヤクルトレディのリクルート活動の強化を推し進めています。
当社のバックアップ策としては、ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、ヤクルトレディの魅力や働き甲斐を描いたテレビCMの放映や、ネットでの情報伝達を活発化させています。
これにより、現役のヤクルトレディのモチベーションの向上を図るとともに、新たなヤクルトレディの人材確保に向けた活動をサポートしています。
次に、店頭チャネルですが、昨年11月に導入したNewヤクルトは、菌数をアップした付加価値が、お客様に受け入れられました。導入から1年を迎えるにあたり、改めて乳酸菌シロタ株の価値訴求を、マスメディアを通じて展開すると同時に、店頭でのプロモーション活動も、従来にも増して活発化させていきます。
商品戦略については、引き続き乳酸菌シロタ株の価値普及活動を継続し、ヤクルトシリーズの持続的な成長を目指します。そして、もうひとつ当社にとって重要な菌である「ビフィズス菌BY株」を使ったミルミルブランドにも注力していきます。
「大腸に生きてとどく ビフィズス菌BY株」のキャッチコピーのもと、9月末には、商品のパッケージをリニューアルしました。
医薬品事業について
抗がん剤「エルプラット」の上半期の売上は、消費増税に伴う3月の駆け込み需要の反動から、4月と5月の売上が前年を大きく下回りましたが、6月以降は、前年と比較してもプラスで推移しています。今後も進行再発大腸がん、結腸がんの術後補助化学療法(アジュバント)の更なる浸透と、すい臓癌でのFOLFIRINOX(フォルフィリノックス)療法の適性使用を推進し、売上の増大を目指します。
当社の「エルプラット」の後発品については、14社が本年8月に厚生労働省より承認を受けました。これにより、12月に「薬価追補収載」され、上市される可能性があります。
当社は、オンコロジー領域に特化した事業を推進しており、薬剤の情報のみならず、癌治療全般に関する情報や適正使用に関する情報を、医療関係者様へ提供させて頂いております。特に当社の「エルプラット」に関しては、ライセンスもとであるスイスのデビオ・ファーマ社とも連携して、数多くの情報を提供してきました。この活動により一層の力を入れることで、売上への影響を最小限にとどめたいと考えています。自社創薬した「カンプト」の事例ですが、既に物質特許が満了し7年が経過し、その間、薬価の引き下げもありましたが、数量ベースでは確実に伸びております。
今後も、さまざまな情報提供を通じて、医療機関から信頼される企業を目指します。
そして、エルプラットの「胃がん」については、9月5日に開催された薬事・食品衛生審議会 医薬品第2部会での審議を経て、切除不能進行・再発胃がんに対して、エルプラットの保険償還が可能となりました。
現在、当社は胃がんに対する申請を行っているところですので、承認取得後は、医療機関に対して適切な情報提供を行い、胃がんにおけるエルプラットの浸透を、積極的に推し進めていきます。
国際事業について
5月に発表した計画を上回る、販売実績が持続しています。なかでもアジア・オセアニアにおいては、予想を上回る実績が続いています。順を追って、主要国の状況について説明します。
最初は中国です。
本年度に入り、3月に「広州ヤクルト第2工場」、6月に「天津ヤクルト第2工場棟」での生産が開始されました。現在の中国全体での生産能力は、日産725万本まで拡大しました。そして、来年度には、中国で5箇所目の生産拠点となる「無錫ヤクルト工場」が稼動することにより、更に47%増となる日産1068万本体制まで拡大する計画です。
また販売面においては、3月に3つの支店を開設し、1年前倒しで27の販売拠点体制が整いました。2002年に広州での事業開始から12年が経過し、中国においてヤクルトを販売できているエリアの総人口は、5億人を超えるところまで来ました。今後もこの5億人の市場でのヤクルトの深耕を進めるとともに、まだヤクルトをお届けできていないエリアへの拡大を、一歩一歩着実に進めていきます。
次はインドネシアです。
中国と並び、販売実績が好調なインドネシアにおいても、本年1月から2つ目の工場での生産が開始し、旺盛な需要に対応のできる環境が整いました。ヤクルトレディによる宅配事業を更に発展させるとともに、店頭での販売の活性を更に高め、持続的な成長を目指していきます。
最後はブラジルです。
ブラジルは1968年に事業を開始した、当社の海外事業所のなかでも歴史のある事業所です。業績については、1997年から98年にかけて発生したハイパーインフレを契機に、2004年ごろまで低迷しましたが、その後はサンパウロを中心とした市場の再構築を推し進めてきた結果、1日平均の販売数量は200万本まで回復してきました。
販売市場については、ブラジルの総人口1億8千万人のうち、約2割の人が住むサンパウロ州での売上構成が約70%を占めています。引き続きサンパウロ州での更なる浸透を推し進めるとともに、中期的には地方の再進出を順次開始することで、更なる成長を目指していきます。
結び
最後に、投資と株主還元の考え方に関して話したいと思います。
まずは投資ですが、海外については、今後も高い需要が見込まれることから、引き続き生産設備を中心とした設備投資を継続して行っていきます。
国内については、これまで「工場の再編」、「中央研究所の新研究棟の建設」等の大型の設備投資を進めてきました。これにより安全、安心な製品づくりや高いレベルの研究開発を行う基盤は整いました。
次は、国内の販売拡大です。販売チャネルを活性化するための投資を行い、販売力の強化に努めたいと考えています。
具体策につきましては、用意できしだい、順次発表してまいります。
そして株主還元です。
当社は、株主の皆様に安定的な配当を継続して実施していくことを最優先とするため、2009年3月期から配当金額のベースを20円とし、そのうえで資金需要および財政状態ならびに当期の業績などを総合的に勘案して配当金額を決定しています。
この方針に基づいて、その後も継続的な増配を実現しており、2015年3月期の配当予想は年額25円としています。
引き続き、事業と同様に安定的に、持続的に増配を重ねていきたいと考えています。
以上、ご清聴ありがとうございました。
株式会社ヤクルト本社
代表取締役社長 COO
根岸 孝成