~2010年3月期 第2四半期 決算説明会 11月10日 (抜粋)~
連結業績の概要
本日、発表しました当社第2四半期連結業績について、ご説明いたします。売上高においては、100億円を超える為替の影響により、前年を下回りましたが、営業利益につきましては、海外のプロバイオティクス事業の成長、ならびに国内事業における「経費削減」効果と「原料安」効果が相まって推移したことから、予測を大きく上回る結果となりました。
下期につきましては、国内の消費動向が、まだまだ厳しいと予測しています。そこで、来期の早い時期に、大型の乳製品ブランドの投入を図るため、今期中に、少しマーケティング投資を行い、地ならしを図ります。また、医薬品事業では、新たな臨床試験を行います。一方、全部門において不要不急の「コスト削減」は、もちろん、継続してまいります。
国内飲料食品事業
グループの近代化
国内事業は、「グループの近代化」の具体的行動に着手し、「利益重視への転換」を、昨年の後半より進めて参りました。
生産体制では、静岡工場が、4月30日の生産をもって閉鎖しており、他工場の閉鎖につきましても、兵庫県三木市の新工場建設の進捗をみながら、進めていきます。なお、この国内乳製品工場の設備投資計画は、平成26年に、本社工場5工場、子会社工場6工場の合計11工場体制を計画しております。
販売組織体制
販売組織体制では、支店の統廃合も進め、昨年、9つありました支店は、現在、7支店体制となっており、来年の4月には、5支店体制となります。それに呼応するように、販売会社の近代化も進み、今年3月末の、124社が、現在、112社になっております。
加えて、販売現場において、ヤクルトレディの数、および販売会社の営業社員の数が増え、販売本数にも回復の兆しが見られます。
このように、ヤクルトグループのコアとなる国内飲料食品事業についても、明るい材料が増えてきております。
マーケティング体制
現在のマーケティング体制では、乳製品では、ヤクルト400類やBF—1といった付加価値の高いブランドへの販売集中を行い、マーケティング・コストの効率化を図りながら、販売数量を確保してきました。今後は、ジュース・清涼飲料事業に関しましても、商品、チャネル、広告などの「見つめ直し」作業に取り組んでいきたいと考えております。
化粧品事業
現在、中期3か年計画「変革プラン」の1年目として 化粧品専売の訪問販売組織づくりを軸に展開しておりますが、9月の販売会社との契約更改により、訪問販売を補う「店頭販売」や「通信販売」などの新たな販売チャネルづくりにも積極的に挑戦することができるようになりました。
医薬品事業
エルプラットによる結腸がんの術後補助化学療法(アジュバント療法)の承認を、8月、予想よりも早く、いただきました。結腸がんのアジュバント療法は、これまでの進行・再発のがん患者への延命治療ではなく、がん患者の治癒(ちゆ)を目標とする治療方法として、医療現場に定着させることを目指していきます。
中外製薬のゼローダという経口剤と当社のエルプラットを用いたゼロックス療法については、従来のフォルフォックス療法に比べ、体への負担が軽減されることから、化学療法を受ける大腸がんの患者さんにとって、朗報です。エルプラットの普及にも少なからず貢献するはずです。
昨日は、エルプラツトの適用拡大を目指し、「進行・再発の胃がん」に関する第Ⅲ相臨床試験を実施することを、皆様にお知らせいたしました。すでに欧米では、エルプラットを含む治療法が、標準療法の一つとして治療ガイドラインの中に位置付けられています。
国際事業
中国
2002年、最初に進出した広東省では、既に、ヤクルトレディ数は1千名を超え、納品店舗数も1万1千店を超えるまでになりました。また、広州に続いて進出した上海、北京においても、宅配チャネルでの展開の目途がつきましたので、今後は本格的な活動を進めていきます。これにより店頭チャネルでの実績に加え、更に加速がついてくると期待しています。周辺エリアでの展開においても、まず店頭を中心とした事業拡大を積極的に進めており、沿岸部での販売エリアは、計画どおり、点から面へと拡大してきました。
このような好調な販売に支えられ、今期、予定通り黒字に転換し、中国全体で10億円前後の営業利益が確保できる状況となってます。将来的には、更なる利益貢献を見込んでいますが、今後とも継続的な投資を行っていきますので、大きな利益については、いましばらく、待っていただきたいと存じます。
アジア地区
中国以外のアジア各国の動向も、好調に推移しております。秋に入り、フィリピン、インドネシアで、台風、地震による災害被害がありましたが、幸い、事業への大きな問題までには至らずに済みました。ご安心ください。
メキシコ
メキシコの第2四半期の実質GDP成長率は、前年同期比マイナス10.3%と、未曾有(みぞう)といってもよい程の、過去最大の落ち込みとなりました。当社事業にも、逆風の環境であることは言うまでもありません。しかしながら、販売実績は、ヤクルトレディの数を増やすことと、新商品による活発な活動を行い、昨年と変わらぬ水準を維持しています。このような状況においても、販売組織をより強化していくことで、経済環境の回復とともに、販売数量の拡大を図っていきます。
アメリカ
アメリカは、着実に拡大を進めている市場です。従来のカリフォルニア州、アリゾナ州、ネバダ州に加え、2月からは、テキサス州において、ウォールマート、クローガー、セーフウェイなどの大手ス−パ−での販売を開始しましたが、販売が好調で、ウォールマートから要請があり、8月末には、ニューメキシコ州、コロラド州においても商品配荷を始めました。こうして、9月末では、アメリカの納品店舗数は、前年同期の約2倍にあたる4500店となりました。
EU
依然として消費低迷が続いている市場です。私たちは、価格戦術に走るのではなく、ヤクルトの価値訴求を一生懸命に行っていきます。売上面は厳しい状況ですが、利益面への影響を最小限に抑えるよう、コントロールしていきます。
まとめ
以上、海外の状況ですが、ご承知のように、世界経済の混迷が、円高をもたらし、当社の連結業績に対しては、しばらく不透明な状態となっております。
しかし、中国を核とした「新興国」においては、早くも経済危機から立ち直った国が数多くあり、特に、私どもが進出しています新興国でのヤクルト事業の成長は、目を見張るものがございます。
その結果、海外における、9月単月の平均販売本数が、初めて、毎日2千万本を突破することができました。国内と合計しますと、毎日2千8百万本を越えております。
おわりに
来年、ヤクルトグループは、創業75周年を迎えます。これを契機にヤクルトグループは「第二の創業の年」として新たなスタートを切るべく準備を進めています。将来の大きな実りのために、国内の近代化にも、さらに拍車をかけ、継続的な投資も行い、真のグローバルブランド「ヤクルト」を育成していきたいと考えております。
そして、将来、世界合計、毎日4千万本、5千万本という実績を皆様にお見せしたいと考えておりますことを、最後にお伝えいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
株式会社ヤクルト本社
代表取締役社長
堀 澄也