~2008年3月期 中間決算説明会(抜粋)~
はじめに
社長の堀でございます。
今期は、投資の年と位置付け、ヤクルトブランドのグローバル化に邁進しておりますが、上半期の連結決算におきましては、医薬品と海外の実績が、予想以上に好調に推移し、売上で前年度を103億円上回り、営業利益も増益となりました。また、ようやく、プリンストン債に関する訴訟の和解が成立し、その和解金を受け取りましたことにより、上半期の純利益は、103億円、前年比123.6%という結果となりました。
しかしながら、下期は、当初の計画どおり、海外への積極展開によるマーケティングコスト増。そして、ここにきて、過去のオイルショックにも匹敵する原油高、原材料高による各経費の増加、将来の事業拡大に向けた設備投資、研究開発投資が見込まれ、少し厳しい見かたによる計画立案をいたしております。
ただ、ヤクルト・ブランドのグローバル化の進捗状況は、大変、満足のいくもので、これならば来期以降、順次、大きな実りを皆様に、ご提供できるステージに突入していますことも、合わせてお伝えしておかなければなりません。
私どもは、2010年創業75周年に向かって、中期経営計画「チャレンジ2010」を推進しております。世界の人口、約75%をカバーする国と地域で「ヤクルト」を届けられるようにいたします。
では、エリア別に、ご説明します
米州エリア
今年の9月に、アメリカ本土への本格販売をスタートさせました。
人口大国のアメリカでの成功は、勿論、大きな課題です。
この9月から、アメリカに本格参入を始め、10月末時点で、約1,500店舗に納品しております。
そこで、国土の広いアメリカにおいて、一気に販売エリアを拡大し、事業負担を大きくする戦術ではなく、メキシコでの成功を考慮し、西海岸地域での地位を、3年ぐらいかけて、確固たるものにしたのち、段階的にアメリカ全州に広げていきます。
アジア
2010年の連結国の販売目標に対する未達分の約半分は、中国、インド、ベトナムでカバーし、残り半分は、既存国の伸びと、これから進出します中近東で補う計画となっています。
その状況の中、中国におけます「宅配成長モデル」を、我々は、ようやく確立することができました。
今後、中国で、そのモデルの拡大と店頭販売のミックスにより、一層の成長が予測されます。中国は、流動人口を含めると販売対象人口8,000万人の広東省の広州ヤクルトを中心に、上海、そして、今年の4月からは、北京でも販売を開始するとともに、天津にも販売地域を広げています。
また、蘇州(そしゅう)市、無錫(むしゃく)市、杭州(くいしゅう)市での販売も現在、開始しており、2010年に、17都市への進出に向けて、順調に販売エリアを拡大しております。
この中国の展開は、計画以上の進捗で、昨年度の実績が、41万本/日だったものが、今年の9月単月ですが、93万本/日の前年比166%となっています。
この状況から推察するに、2010年には、中国全体で、毎日170万本の販売を達成し、単年度黒字への転換も果たせる勢いです。ご期待ください。
次に、ダノン社と共同で進出準備をすすめています「インド」への進出ですが、現在、デリー市に製造工場を建設中で、12月下旬の本格稼動を予定しています。
そして、ベトナムは、ホーチミン市近郊の工業団地に製造工場の建設を行なっていますが、来春には生産がスタートできるでしょう。販売の方は、9月にインドネシアからのヤクルトを輸入し、先行販売を行い、来る本格販売のための準備をすすめています。
日本
乳製品は、店頭でヤクルト10本パック、宅配でヤクルト400に集中した拡販が、全国ベースで成功し、ようやく数量ベースの減少トレンドに歯止めが、かかってきました。
これにより、今期、販売現場が、少し、活気を取り戻しています。乳製品の数量ベースで前年を上回っています販売会社数が、昨年は、年間で、わずか7社しかありませんでしたが、今年上半期では、129社中83社となっております。
これなら、来期は、金額ベースでも歯止めがかかり、上昇トレンド元年になると信じております。
国内生産体制「再構築」の進捗状況ですが、札幌工場と藤沢工場は、4月に閉鎖しました。夏には、計画どおり北陸工場を閉鎖いたしましたので、前倒しの岡山工場を含め第1期計画の14工場への集約は、すでに達成いたしております。第2期計画につきましても、まとまりしだい、すみやかに発表したいと思います。
さて、化粧品事業におきましては、「パラビオ」ブランドに代表されるスキンケア商品に集中したマーケティング活動を推進中です。そして、来春には、皆様に、新・湘南化粧品工場をご紹介し、それをきっかけに、売上100億円の壁を突破し、かならずや、いまの医薬品と変わらない規模にまで、成長させようと考えております。
医薬品事業
抗がん剤「エルプラット」は、日本の医療機関の皆様に大きな評価をいただき、現在、再発性大腸がんの第1選択の治療薬として国内に定着してきております。今後は、大腸がんの術後治療アジュバントに代表されます適応拡大の申請・承認作業に力を入れていきたいと思います。
また、特許切れの「カンプト」に替わる国際戦略用の、新薬パイプラインですが、抗がん剤で、開発コード「IHL−305」の米国での第1相臨床試験は、着手が、少し遅れたものの順調に推移しています。
医薬品の将来を鑑みると、今後とも、一層の新薬パイプラインの充実が必要です。私としましては、2014年か、2015年には、医薬品部売上500億円を達成したいと考えております。その為、研究開発投資は優先していきます。
研究開発といえば、腸内フローラ解析システム「イフ・スキャン」による世界標準化構想にフランスやアメリカの研究機関が名乗りをあげてきています。いずれ詳細を発表いたします。
さて、配当の件ですが、今年度は投資の時期ということもありますが、前年度以上を目指し努力いたします。
また、ROEの改善を意識した経営も図り、少しづつではありますが、皆様のご期待に添えますようにいたします。
最後に、皆様方の、ご理解とご協力を今後ともよろしくお願い申し上げます。
株式会社ヤクルト本社
代表取締役社長
堀 澄也