どうして便が出にくくなるの?
お通じチェック
以下の項目をチェックしてみましょう。
- トイレの時間は決まっておらず、不規則
- おならが臭いと言われる
- いきまないと便が出てこないことが多い
- 排便後も便が残っている感じがする
- 便が硬くて出にくい
- コロコロとした便が出る
- ときどき便がゆるくなる
- 便の色が黒っぽい
- 出た便が便器の底に沈むことが多い
- 便が臭いとよく言われる
出典:辨野義己先生監修「腸年齢チェックシート」より「トイレ(排便)に関すること」を抜粋
いくつ当てはまりましたか?
1つでも当てはまる項目がある場合は、「お通じに不具合が出ている」可能性があります。
「チェックの数が多い⽅は、体の不調が生じている可能性もあるので、⼀度専門家に相談してみるのも選択肢の1つです。
便が腸内を通る速度が通常より遅くなったり速くなったりすると、お通じに不具合が出てきます。これには「大腸の動き」が関係しています。
大腸の動きが悪いと便が出づらくなる
大腸を動かす筋肉がゆるむと、腸の内容物を肛門まで押し出していく運動が弱くなり、便が押し出されず腸内に溜まりやすくなります。また、ストレスなどで過度な交感神経の緊張状態が続くと、腸の内容物を肛門まで押し出していく運動が正常に行われなくなり、便がうまく運ばれず、便が出づらくなります。
また、便意を我慢することが習慣化してしまうと、排便反射が起こりにくくなってしまって便が出づらくなります。
腸の健康状態について気にしている?
出典:株式会社ヤクルト本社「ストレス・睡眠と腸の健康意識に関する調査」2021年3月
(調査で得られた数値を基にグラフを作成)
性別による差はあまり関係なく、男女ともに半数以上が腸の健康状態を「気にしている」と回答していますが、女性の方がより腸の健康状態に感心が高い傾向にあるようです。
便が出づらくなる主な原因は?
便が出づらくなる原因はどこにあるのでしょうか。
代表的な例をいくつかご紹介します。
食生活の乱れ
便のもとは食べ物です。ということは、口にするものや食べるという行為そのものがお通じに直結するといえます。
例えば、外食が多いと栄養が偏ったり、消化に時間がかかるものを食べがちです。野菜もとりづらくなり、便の形成に必要な食物繊維が足りなくなると、お通じ悩みにつながります。
また、1日3食の食事は腸に規則正しく刺激を与えるために大切なことで、食事をぬいてしまうと腸が定期的な刺激を得られず、排便習慣に乱れが生じます。
特に朝食は、眠っている大腸を起こす役割もあり、排便を促すぜん動運動は朝が最も活発になるといわれています。つまり、忙しいからといって、朝食を食べない生活を送っている人は、お通じの好機を逃していることになるのです。
水分不足
大腸では、ドロドロの残りカスから水分が少しずつ吸収され、固形の便がつくられます。水分を十分に摂取していれば、腸内が適度な水分で潤い、移動しやすい硬さの便をつくることができます。また、適度な水分を含んで膨らんだ便が腸壁を刺激して、ぜん動運動を促進します。
腸内の水分が減少すると、不足している水分を便から補ってしまうので、便が硬くなり、腸内をスムーズに移動できなくなってしまいます。
例えば、加齢によりトイレが近くなったことを気にして水分をほとんどとらない高齢者や水分制限をしたひとでは、便が硬くなってしまい出にくくなることがあります。
運動不足
腸は動かさないと、動きが鈍くなってしまいます。例えば、長時間同じ姿勢でいるデスクワークは、筋肉が緊張して血流が滞ってしまうから肩が凝る、というのと同じ。体を動かせば、腸に刺激を与えられるので、ぜん動運動が活発になります。
また、排便でいきむときは腹筋の力が必要です。運動不足により腹筋が衰えると、便を押し出す力が弱くなるので、スムーズなお通じができなくなります。高齢者にお通じが出づらい方が多いのは、運動不足による腹筋の衰えと加齢による腸機能の衰えで、いきむ力が弱まってしまうからともいわれています。
便意の我慢
何かと忙しい朝や学校・会社にいるときなどは、便意が起きてもつい我慢してしまう方も多いと思います。
便が結腸から直腸におりてくると「排便反射」という反応が起こり、その刺激が脳に伝わって便意が起こります。
便意は、我慢したり気を紛らわせて抑えられるほどの微妙な感覚といわれているので、抑えたり排便を我慢していると、直腸の反応がどんどん鈍くなり、起こりづらくなってきます。便意を感じないと、直腸に便が溜まっていることにも気づかず、よりお通じが出づらい状況になるという悪循環に陥る可能性があります。
無理なダイエット
食事の量を減らすダイエットをすると、食べたもののカス自体が少なくなるので、便意が起こる大きさの便が形成できなくなります。また、形成に必要な食物繊維や水分、脂肪分が足りなくなってしまうので、腸の動きが悪くなり、便が硬く排出されづらい状態になります。
過度なストレス
環境の変化などによりストレスを感じると過度な交感神経の緊張状態が続き、腸管も緊張状態になります。すると、便がうまく運ばれなくなり、お通じが出づらくなる場合があります。
女性は便が出にくい?
あなたの排便頻度は?
出典:株式会社ヤクルト本社「ストレス・睡眠と腸の健康意識に関する調査」2021年3月
(調査で得られた数値を基にグラフを作成)
男女ともに約半数が「1日に1回」と回答しているものの、男性より女性のほうが、排便頻度が低い傾向にあることがわかります。
お通じに悩まれている女性は多いようですが、そもそもなぜ女性に多いのでしょうか?
以下の2つが理由としてあげられます。
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- 1身体的理由
女性は体の構造上、腹筋の力が弱いので、必然的に便を押し出す力も弱くなってしまいます。
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- 2ホルモンの作用
多くの女性が「生理前にお通じが出づらくなりやすい」と感じることには理由があります。月経前に分泌される黄体ホルモンには、大腸のぜん動運動を抑えて便の水分を吸収するはたらきがあります。そのため、お通じが出づらくなってしまうと考えられています。
また、妊娠時にも同様のことを感じる方が多いですが、これも妊娠中に多量に分泌される黄体ホルモンの影響です。そのほかに、運動不足や大きくなる子宮に腸が圧迫されて動きが鈍ってしまうことも原因としてあげられています。
では、どうすれば、いつもスッキリと便が出せるのでしょうか。
お通じにとって大事なことやお通じ悩みの改善方法を見てみましょう。