お通じと健康の深い関係
朝にお通じがあってスッキリすると、気持ちも晴れ晴れしますよね。逆に、お通じがなかったり、あっても「何だか…」な日は、1日中気になったり、モヤモヤしたり。
便とは、体内に取り込まれた食べ物から、必要な栄養素が吸収されたあとに残った残りカスのようなもの。残りカスが体内から排出されずにどんどん溜まっていくと考えると、体調にも影響してくるのは想像がつきます。
お通じのある・なしは、みなさんの体が健康的にはたらいているかどうか、とも言えます。
「お通じがある」と、体内の残りカスが正常に外に排出されて体の中がきれいになるので、気分もスッキリする。
「お通じがない」と、体内に残りカスが溜まり、なんとなくおなか周りが重くなり、気分も重くなる。
お通じは、みなさんがご自分の健康状態をチェックできる身近なバロメーターなのです。
では、お通じが出にくい方・お通じがない方はどう改善していけばよいのでしょうか?
お通じの悩みを意識されている高齢者や女性はもちろん、老若男女どなたでもがご自分に合った改善方法を見つけるために、まずは排便のしくみや便通の乱れの原因について考えてみましょう。
便って何でできているの?
はじめに、体内で便がつくられるしくみを見てみましょう。
健康な人の場合、便の約80%は水分で構成されており、残りの約20%は以下の3つから形成されています。
①食べたもののカス
②腸内細菌
③腸の細胞が剥がれ落ちたもの
ここで大切なのものは、②の腸内細菌です。
「腸にはたくさんの菌がすんでいます」という言葉をよく耳にしますが、人の腸にすむ細菌をすべて並べると、地球を2週半する長さにも相当すると言われていて、この細菌が体の健康にかかわる大きな役割を担っているからです。
腸内細菌は以下の3種類に分けられると考えられています。
-
- 1良い菌
- 悪い菌の侵入や増殖を防ぎ、腸の運動を促す菌
-
- 2悪い菌
- 腸の内容物を腐らせ、有害な物質をつくる菌
-
- 3中間的な菌
- ①②のどちらでもない菌
健康な人の腸内では、これらの菌のバランスが一定の条件で保たれているのです。
また、理想の便を見極めるポイントは、形状がバナナ状、臭いはきつくなく、硬さは練り歯磨き程度。いきまなくてもスルリと出るくらいがちょうど良いとされています。
便には腸内細菌が含まれているので、形、臭い、量などさまざまなところに影響があります。だから、便を見れば、その人の健康状態がある程度わかるのです。
腸の役割とお通じのしくみ
「便」のもとは「食べ物」です。口から摂取した食べ物が体内を移動し、栄養素が取り出され、残りカスは体外に排出されます。このとき、体の中ではどのようなことが起こっているのでしょうか?一連の流れを見てみましょう。
-
- 1口・食道
- 口から入った食べ物は咀嚼された後、食道を通って、胃に移動します。
-
- 2胃
- 胃に入った食べ物は、胃液によって消化されてお粥状になり、小腸へ移動します。
この時の消化の刺激がきっかけとなり大腸のぜん動運動が始まります。
これを「胃・結腸反射」といいます。
-
- 3小腸
- 小腸では、お粥状のものから体に必要な栄養素と水分が吸収されます。
必要なものが取り除かれたドロドロの残りカスが大腸へ移動します。
-
- 4大腸
- 大腸では、ドロドロの残りカスから水分が少しずつ吸収され、固形の便をつくりながら、ぜん動運動により大腸を通り、直腸まで運ばれます。
便が溜まると直腸内の圧が高まり、排便反射が起こります。そして脳には「便が来た」という情報が伝わり便意が起こります。
-
- 5肛門
- 「排便せよ」と脳から指示が出ると、腹圧がかかり肛門がゆるみ、便が排出されます。
食べ物が便となって排出されるまでにかかる時間は、約24時間〜72時間といわれています。それぞれの消化管が正常に機能を果たし、滞りなく進めば、スッキリとした気持ちの良いお通じになります。
ほぼ毎日、スルリとお通じが出る習慣のある方は、腸内の環境が良いといえます。
生活のリズムや食事量、ストレスなどの影響もありますが、腸が十分に機能を果たせないと、お通じに不具合が出てきます。例えば、便が大腸内を通る速度が遅くなると、水分が吸収されすぎて便が硬くなり、排出しづらい状態になります。
逆に、便の通る速度が速くなってしまうと、水分の吸収が不十分になり、便が軟らかくなってしまいます。
なぜ、お通じに不具合が出てしまうのでしょうか?
その原因について探ってみましょう。