人生100年時代 人生100年時代に必要な生き方

子どものときは学校へ行って勉強をして、大人になったら就職して働いて、退職したら老後はゆっくりと過ごす。
人生の流れとして、こんなイメージをお持ちの方が多いはず。

でも、これは寿命が80歳くらいと仮定されたときの話で、今では100歳の高齢者もめずらしくありません。
ちまたでは「人生100年時代」という言葉もよく耳にするようになりました。

―もし、100歳まで生きられるとしたら―

20歳も寿命が延びて、今までのイメージのまま今後の生活を送り続けるのは、難しい。
では、どうしていけばいいのでしょうか?

この疑問について、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットンさんが考え
『LIFE SHIFT―100年時代の人生戦略』という本にまとめ、世界中で共感を得ています。

人生100年時代とはどのようなものなのでしょう。

人生100年時代とは

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リンダさんは、2007年に生まれた子どもの半数以上が100年以上生きると予測して、「人生100年時代」という言葉をキーワードとして使用しました。

今まで多くの方の人生は、教育・仕事・老後の3ステージで区切られているのが基本で、ざっくりわけると、教育で20年、仕事で40年、老後で20年。これを100年時代にもそのまま当てはめると、老後の部分が仕事の期間と同じ40年に延びてしまいます。

人生設計変化のグラフ

一方で、寿命は延びているのに、世の中はITの活躍などで変化するスピードがどんどん速くなっています。

例えば、コロナ前までは少なかったテレワークやオンラインミーティングなどが今では当たり前になりました。最近では、知りたいことを何でもすぐに教えてくれるAIなどの登場で、「教育や仕事のやり方が大きく変わるのでは?」と話題です。

つまり、数年で簡単に「普通」が変わってしまう社会になっていくわけです。

このような時代のなかで、無理なく生き生きと人生を過ごすためには、時代に合わせて生き方も変化させていくことが必要になってきます。

人生100年時代の生き方

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人生が80年から100年になり、「普通」が簡単に変わってしまうこれからの時代のなかで、教育・仕事・老後のステージを順番にたどっていく生き方でうまくいかないのであれば、どう変わっていけばよいのでしょうか?

人生100年時代における教育の変化

「教育」とは、就職する前の、20代前半ごろまでに受ける学校教育のこと。
今までは、このような考え方を持っている人も多かったのではないでしょうか。

しかし、100年時代では一生がより長くなり、時代の変化も大きくなる。
若いころに身につけた知識だけで人生を無理なく生き生きと過ごすのは、心もとない時代になってきたといえます。

そのため、これからの時代は、教育についても多くの選択肢が広がり、働きながらでも、高齢者になってからも、学ぶチャンスが増えてきます。

例えば、スキルを高めるために資格の勉強をする、グローバルな視点を持つために留学する、他業種を知るために交流して高め合う、知識を広げるために大学に入り直す……

「時間があるなら、新しいことを学んで、できることの幅を広げたい」
「将来のために学び直して、自分の描くライフプランをより充実させたい」

人生100年時代では、自分のなかで選択肢を広げたうえで、自分の状況ややりたいことに合わせて、「年齢関係なく学び続けていく」という姿勢を持つことがとても大切になってきます。

人生100年時代における労働の変化

今までは、新入社員として入社した会社で定年までを過ごす、引退したら仕事は終わりといった意識を持った人が多かったのではないでしょうか。

しかし人生100年時代では、寿命が20年も延び、そのぶん生活費もかかります。
これまでよりも長く働く必要がでてきますし、時代の変化に合わせて働き方の選択肢も増えています。

例えば、お金を得るためにスキルを活かした仕事、新しく興味を持った分野での副業、経験を積むための転職。
フリーランスや起業といった雇われないスタイルや、自分の体力・ペースに合わせて無理なく短時間で働けるパートや派遣、といった形があります。

また、やりがい・生きがいにポイントを当てると、地域のコミュニティへの参加やボランティア活動も大きなくくりで「働く」こととして、大切な選択肢の1つになります。

これからの時代で無理なく生き生きと人生を過ごしていくためには、選択肢を自分のなかで大きく広げたうえで、自分が描くライフプランに合った働き方を、自分で選んでいくように、考えをシフトしていくことが大切になってきます。

人生100年時代に必要な資産

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人生100年時代になり、社会がさまざまに変化していくとしても、生活していくためには当然お金が必要です。しかし、これまでのように仕事で貯めたお金を切り崩しながら、長くなった時間を生きていくのは、難しいかもしれません。さらに、長い人生を楽しく過ごすためには、ただ生活していけるお金があるだけでよいのでしょうか。

人生100年時代になったからこそ、今までと変わらずに必要な目に見えるお金などの「有形資産」だけでなく、目に見えない「無形資産」というものがとても重要になると言われています。次は、これらについて具体的に紹介していきます。

目に見えて形がある「有形資産」

有形資産とは、いわゆるお金のことです。お金とは貯金のことだけでなく、自宅の土地・建物や株など目に見えて形があるもの、財産と聞いてすぐに思いつくようなものです。長い人生を生きるうえで、目に見える資産は人生80年のときと変わらず必要になります。このような有形資産の話は、さまざまなメディアやニュースなどで目にすることも多いので、本ページではこの程度の説明に留めておきます。

目に見えずお金に換えられない「無形資産」

無形資産とは、目に見えないもので、直接お金に変えられるものではありませんが、持っていると形として見えるお金に結びついたり、精神的な面でも人生を豊かにしてくれるものです。これは、寿命が長くなるからこそ、さらに大切になってくる資産になります。
この資産は、「生産性資産」「変身資産」「活力資産」の3つに分けられます。

スキルや人脈の「生産性資産」

生産性資産のイメージ

生産性資産は、収入アップやキャリアアップするために必要なもので、具体的には、スキルや知識、人脈や人間関係などがあります。

新しい知識や情報をインプットし続けたり、資格を取ったり、経験をとおしてスキルを磨く努力をし、それを仕事などに反映していけば、評価が上がり、収入やキャリアアップにつながります。

さらに信頼できる仕事仲間が持っているものを組み合わせれば、新しいアイデアが生まれます。自分ひとりで取り組むよりも質の良い仕事ができ、周りや社会からの評判や信頼を得る度合いも高まります。

寿命が20年も延びるなかで、こうした武器をたくさん持っておくと安心です。

受け入れ挑戦する「変身資産」

変身資産のイメージ

変身資産とは、環境の変化に合わせていくために役立つもので、「受容する柔軟さ」や「挑戦する向上心」などを指します。

例えば学校や職場など自分の所属する環境が変わったり、コロナ禍などで急激に社会のシステムが新しくなったり、会社都合/自分都合で会社を辞めてステージが変わる頻度が増えるといったようなことが起こります。

こうした変化を自分なりに受け入れようとする姿勢を持っていれば、「自分」について考えて、このなかでどうしていきたいかを見つけていくことができます。

変化に不安はつきものですが、どうありたいかが見えていれば、新しい経験にも挑戦でき、そのときに合ったステージを選びながら進んでいけます。

環境の変化が目まぐるしいなかで、年齢で区切らず長く働き活動し続けるようになる人生100年時代だからこそ、不安や変化を受容し飛び込んでいく力が大きな意味を持つといえます。

心身の健康「活力資産」

活力資産のイメージ

活力資産は、前向きな気持ちを保つのに必要なもののことで、心身の健康や、長い年月をかけて良好な関係を築いてきた家族や友人がそれに当たります。

仕事や人間関係などでストレスがかかりやすく、健康を損ないやすい環境に囲まれています。

私生活で楽しいことがあれば、職場でも笑顔でいられる。
ポテンシャル高く仕事ができていれば、私生活でも健やかでいられる。

ポジティブな感情は仕事と生活の両方に良く影響し合い、心身をストレスから守り強くする効果があるといわれています。
心と体が健康であれば、いつまでも若々しく元気に働き続けられます。

1つのものや場所にこだわらず、ステージを行き来しながら生きる人生100年時代。
深い人間関係をつくるのが難しくなる環境で、自分で考えて道を選び続けなければいけません。

だからこそ、家族や幼馴染、学生時代からの友人など、時間をかけて気兼ねない関係性を築けている人たちは、今まで以上にかけがえのない存在になってくるのです。

いつまでも元気な心と体を

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働き方や考え方が多様化する人生100年時代では、「自分は何を大切にしているのか」「どのように働いて生きていきたいのか」をしっかりと考えて進んでいけば、自分らしく生きやすくなる時代ともいえます。

といっても、まずは健康であることが前提。病気になり日常生活を送ることもままならないようでは元も子もありません。

生き生きと自立して暮らすには、まずは健康を維持すること。そのために重要なことが、腸内環境を整えるということです。腸内環境を整え、健康を維持することで、心も体も生き生きとした人生100年時代を過ごしましょう。

出典:リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット 著(池村千秋訳). 『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略』. 東洋経済新報社, 2016, p428.