決めつけない生き方が、自分らしさ。
山田孝之が語る、役者としての心身の在り方。
—山田さんは、俳優、監督、プロデューサーとして作品づくりを行う中で、達成感や充実していると感じる瞬間はどのようなときですか?
俳優、監督、プロデューサー、それぞれの立場で感じ方は全然違いますね。俳優としてはそのシーン、そのカットごとに現場で感じる達成感があります。監督となった場合は、最初のキャスティングや技術的な準備をしながらうまくハマっていったときもですし、そこから編集作業があり、そこで完成に向かっていく新たな達成感がある。プロデューサーの場合は一番最初から最後まで関わるので、脚本ができたときや、オファーを受けていただいたとき、現場がうまく進んだときなど、その都度に達成感があります。ただ、どの立場であっても、一人でも多くの人に作品を届けたいという気持ちは同じですね。
—常に新しい作品づくりに挑戦されていますが、そのための体調管理で特に気をつけていることはありますか?
もう40代なので、さすがに20代の頃とは違って気を遣うようになりました。20代は4時間睡眠でも平気でしたが、今は7時間きちんと寝られるよう逆算して生活しています。体に入れるもの、食べ物や飲み物にも気を配るようになりました。でも、ガチガチに決めすぎるのは好きじゃないので、適度に抜き所もつくっています。
—撮影や撮影前の準備は精神的・肉体的負担が大きいと思います。どのようにして心身のバランスを保っていますか?
これが面白いところで、役によって全然違うんです。ある程度きちんとした状態を保つ必要がある場合もありますが、どちらかというと崩した方がいいことが多い。人生の大きな転換期や困難に直面するキャラクターを演じるときは、精神的にも肉体的にも自分から追い込んでいくこともあります。現場から帰っても、その状態を保とうとする。でも、撮影が終われば釣りをしたり、山や海に行ったりして自然に触れて戻すようにしています。監督やプロデューサーのときは安定している方が絶対にいいですね。監督も、作品やキャラクターに入り込むので、俳優と同じように疲弊している監督をたくさん見てきました。
—ストレス緩和や質の良い睡眠、日々の健康のために、日常的に行っている健康習慣やルーティーンはありますか?
ルーティーンが必要なときもあれば、それを壊していった方がいいときもある。最近、同じようなことばかりやっているな、と感じたら違うことをやってみる。それが私なりのバランスの取り方かもしれません。あまり決めつけすぎないようにしています。一人だけで生きているわけでは決してないので、その時々の、周りの人たちのリズムも大切にしながら過ごしています。
—今回Y1000のCMの出演オファーがきたときのお気持ちや、実際に撮影に挑んでみての感想を教えてください。
正直な話、自分でいいのかなと迷いました。私はその時々のワクワクを重視して生きているような人間なので。でも、スタッフの方々の熱い想いに触れ、やってみようと決意しました。実際の撮影を終えて、健康体な自分だからこそできる表現があったのかもしれません。
—最後に、これからの夢や目標についてお聞かせください。
これから先、どんな人と出会って、どんな思いが生まれるか分からない。それを楽しみながら、みんなでワイワイ生きていきたいですね。世の中何があるか分からないので、あまり先の計画は立てません。その時々で楽しみながら進んでいけたらと思っています。
山田 孝之
1983年10月20日生まれ。鹿児島県出身。 1999年、俳優デビューし、2003年、「ウォーター ボーイズ」でテレビドラマ初主演。以後、「世界の中心で、愛をさけぶ」、「電車男」、「闇金ウシジマくん」シリーズ、 「勇者ヨシヒコ」シリーズ、「全裸監督」、「十一人の賊軍」など、数々のドラマ、映画で主演を務める。