科学の
微生物とは?
『微生物』とは肉眼では見えないほど小さな生き物のことで、いろいろな場所に存在しています。例えば、私たちの腸には1,000種類近く、約100兆個もの細菌たちがすんでいて、私たちの体に有益なものもいれば、有害な菌もいます。
目に見えないほど
小さな生物たちの総称
微生物の一種である細菌の大きさは1マイクロメートル程度で、これは針の先に数百個も乗る小ささです。そのほかにもさまざまな微生物が私たちの周りに存在しています。
納豆菌や乳酸菌、麹菌など食べ物をおいしく発酵させる菌たちも微生物ですし、カビや大腸菌など、食べ物を腐らせたりカビを生えさせたりする菌たちも微生物です。
微生物の種類
微生物は微小な生物を指す言葉で、さまざまな種類があります。例えば細菌、カビや酵母などの真菌、アメーバやゾウリムシなどの原生動物といったものが挙げられます。
これまでに人間が培養・保存してきた細菌の数は10,000種程度ですが、これでも地球上に存在する細菌の0.1%以下の数だと言われていますから、『微生物』という言葉の範囲の広さがおわかりいただけるのではないでしょうか。
ちなみに、微生物の仲間とされるウイルスは他の生物のように自身だけで代謝したり増えたりすることができないので、「生物と非生物の間の存在」と言われる存在です。
微生物の歴史
地球上ではじめて生まれた生物は微生物だと考えられています。地球が誕生したのが46億年ほど前で、微生物の一種である細菌が生まれたのが40億〜35億年前。ホモ・サピエンスが生まれたのは20万年ほど前のことですから、細菌は人類の大先輩と言えます。
肉眼では見えないほど小さい微生物の存在を人間が知ることになったのは顕微鏡が作られてからです。オランダの科学者であるレーウェンフックが1665年に顕微鏡を発明。雨水や下水などを顕微鏡で観察し、微生物の存在を発見しました。
約200年後、ドイツのコッホやフランスのパスツールといった細菌学の祖と呼ばれる細菌学者たちの手によってさまざまな細菌が発見され、医学が大きく発展しました。
微生物の役割
微生物は地球の生態系を維持するために必要不可欠な存在です。微生物がゴミや汚れ、生物の死骸や排せつ物などの有機物を分解し、水や土を浄化するはたらきは、汚水処理や汚染された土を修復するための技術にも使われています。近年はプラスチックを分解する微生物を環境問題に役立てる研究もあるようです。
細菌の一種である乳酸菌や納豆菌は食べ物をおいしく保存してくれるだけでなく私たちの免疫機能を整えるために重要な役割を果たすことがわかっています。また、薬として使われる抗生物質は微生物が作る物質であり、中でも青カビから発見されたペニシリンは有名です。
一方、私たちに害を及ぼす微生物も多く存在します。サルモネラ菌やボツリヌス菌、ノロウイルスやカンピロバクターなどは食中毒を起こす微生物として知られていますし、風邪(かぜ)の原因のほとんどはウイルスで、細菌性の風邪(かぜ)も存在します。
身近な存在、微生物
地球上には数えきれないほどの微生物が存在しています。
微生物はとても身近な存在で、私たちの健康とも深い関わりがあります。乳酸菌をはじめ、私たちを助けてくれる微生物と仲良くすこやかな毎日を送っていきましょう。