科学の

化学調味料とは?

グルタミン酸イノシン酸グアニル酸JAS 規格食品衛生法食品添加物

『化学調味料』とは一般的にうま味調味料と呼ばれるもののことですが、現在は公式には使われていない言葉であり、定義もあいまいです。
うま味調味料にはグルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸などのうま味成分が含まれていて、これらは食品衛生法の基準をクリアした安全性の高い成分です。

化学調味料って何?

化学調味料という言葉はJAS規格において使用されていたことがありますが、平成元年には削除されました。現在は食品表示基準で規定されておらず、公式には使われていない言葉です。

また、化学調味料という言葉自体の定義は非常にあいまいであり、一般的にはいわゆる「うま味調味料」と呼ばれるものを指すことが多いですが、うま味調味料の原料はさとうきびやとうもろこしなどの農産物であり、発酵法によって作られます。「化学」という言葉のイメージとは異なるものであると言えます。

「化学調味料無添加」
表記はNG?

2024年4月1日以降、『食品添加物の不使用表示に関するガイドライン』が完全義務化され、食品表示基準で規定されていない「化学調味料」などの言葉を食品パッケージに使うことはできなくなりました。

また、「化学調味料無添加」など、無添加であることが優良な製品であると誤認させるような表示も規制されています。

うま味調味料には
何が含まれているの?

うま味調味料は、うま味を作り出すアミノ酸の一種、グルタミン酸ナトリウムを主成分としています。その他にも核酸の一種であるイノシン酸ナトリウムやグアニル酸ナトリウムも含まれており、これらが組み合わさることでより強いうま味を与えることができます。

グルタミン酸ナトリウムは昆布や醤油、味噌、チーズや、白菜、トマトなどに多く含まれている成分で、イノシン酸ナトリウムは魚や肉に多く含まれています。グアニル酸ナトリウムは干しきのこに多く含まれています。

日本で昔から使われている「合わせだし」はグルタミン酸ナトリウムとイノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムの組み合わせでうま味が強くなる特性を活用したものです。

うま味を作り出すアミノ酸の一例

健康には影響はないの?

さとうきびやとうもろこしなどの原料から抽出した糖蜜やでんぷんを発酵させてできるのがうま味調味料です。含まれるグルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムは食品衛生法では食品添加物として分類されていて、法に定められた安全性を満たしている調味料です。

グルタミン酸ナトリウムは体内に入るとグルタミン酸とナトリウムに分かれて吸収されます。グルタミン酸はもともと体内に存在している成分です。うま味調味料に含まれるナトリウムの量は食塩の1/10〜1/20程度であり、うま味調味料を料理の味付けに使う際、通常の使用量であれば健康に悪影響を与えることはありません。

うま味調味料も摂りすぎには注意すべきですが、それは砂糖や塩の摂りすぎが良くないのと同じです。

うま味調味料はだしを自分で取る、などの作業をせずに簡単に料理にうま味を足すことができる便利な調味料です。「化学調味料」という言葉のイメージに惑わされず、上手に活用していきたいですね。