からだの

おならとは?

腸内環境腸内フローラアンモニアインドールスカトール硫化水素ガス抜きポーズ過敏性腸症候群潰瘍性大腸炎胃腸炎慢性胃炎腸閉塞大腸がん我慢改善

飲み込んだ空気や腸内で発生したガスが肛門を通じて排出される生理現象をおならと言います。窒素、二酸化炭素、酸素、水素、メタンなどが主な成分です。

おならは健康の
バロメーター

おならは、腸内環境や健康状態を反映するバロメーターです。腸内フローラが乱れて悪い菌が増えるとおならの臭いが強くなることがあります。
逆に、腸内環境が改善するとおならの臭いが減り、頻度も正常になります。

また、妊娠や生理の時期におならの量や臭いに変化が起きることがあります。女性ホルモンが水分や栄養を体に蓄えようとするはたらきや、腸のぜん動運動を低下させるはたらきの影響で便秘になり、ガスがたまりやすくなるのが一因です。
腸の動きが低下すると便がたまった状態になり、腐敗によって悪い菌が増えてしまうため、おならも臭くなりやすいのです。

おならはなぜ臭いの?

腸内がすこやかな状態であれば、おならの成分は窒素などの無臭のガスがほとんどなので、悪臭がすることはあまりないはずです。

おならの臭いの原因となるのはアンモニアやインドール、スカトール、硫化水素などの成分ですが、これらは臭いの強い食品や動物性のタンパク質の摂りすぎや、腸内にすむ悪い菌の一種、ウェルシュ菌などが原因であると言われています。

適切なおならの回数

一般的に、1日に10回程度のおならが正常な範囲だとされています。ただし、おならの数は食生活や腸内環境によって異なるため、適切な回数にはかなりの個人差があります。おならの回数が多い、少ないというだけでは健康状態の良し悪しは判断できません。

健康状態を確認したいなら、おならの回数よりも、臭いやおなかの張り、不快感がないか、といった点に着目して判断した方が良いでしょう。

おならが
出やすい人って
どんな人?

食物繊維が多い食品は腸内ガスが増えるのでおならが出やすくなる傾向があります。
また、便秘になると便が腸内にたまるため、ガスが発生しやすくなり、おならの量が増えたり臭いがきつくなったりします。

おならには、腸内で発生したガスの他に飲み込んだ空気も含まれます。そのため、空気を飲み込む癖がある、いわゆる吞気症の人もおならが出やすくなります。
また、乳製品に含まれる乳糖を消化吸収できない乳糖不耐症の場合も、牛乳を飲むとおなかにガスがたまっておならが増えることがあります。

おならが止まらない場合はまず食生活を見直すべきですが、ガス抜き体操やガス抜きポーズと呼ばれる動きでガスを排出するのも良いでしょう。

<ガス抜きポーズ>
① 仰向けになり、片ひざを曲げて両手で胸に引き寄せます。腰が床から浮きすぎないようにするのがポイントです。
② ひざを引き寄せたまま、腰を伸ばし15秒ほど深呼吸し、反対側も同じように行います。

ガス抜きのポーズには、仰向けに寝て、両ひざを同時に胸に引き寄せる方法もあり、いろいろな動きがあるので自分にとってやりやすいものを選んでみてください。

「ガス抜きポーズ」図解

おならと食生活

肉類など高脂肪の食品は、腸内の悪い菌の大好物なので、おならが臭くなりやすい食べ物と言えます。おならの臭いが気になるなら、まずは食生活のバランスを見直してみましょう。

乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌などのプロバイオティクスに加え、オリゴ糖などのプレバイオティクスを摂取し、腸内をすこやかに保つことができれば、おならの臭いの改善にもつながります。

おならと運動

慢性的な運動不足によって胃腸の活動が低下すると、おなかにガスがたまりやすくなり、結果、おならも増えてしまいます。ガス抜きポーズに加え、軽い運動を毎日の生活に取り入れてみると良いでしょう。

おならと病気

おならの回数や臭いなどに違和感をおぼえた時に考えられる病気にはさまざまなものがあります。
精神的なストレスなどが原因で下痢や便秘などが起きる過敏性腸症候群や、大腸の粘膜に炎症を起こす潰瘍性大腸炎、胃腸炎や慢性胃炎などでおならの回数が増えることもあります。
逆に、腸閉塞や大腸がんといった、腫瘍などで腸が塞がれておならが出なくなることが主な症状である病気も存在します。
たかがおならと思わず、違和感がある際には医療機関を受診するようにしましょう。

ストレスとおなら

ストレスはおならに影響を及ぼします。過敏性腸症候群や呑気症の一因になりますし、胃腸の動きを調整する役割を持つ自律神経がストレスによってバランスを崩し、腸のぜん動運動が低下してガスをため込んでしまうこともあります。

おならを我慢するのは
体に悪い?

おならは腸にたまったガスを排出する生理現象なので、我慢はしない方がいいでしょう。おならを我慢すると、便秘の原因になるだけでなく、ガスが血液に溶け込んで、全身に回って病気の原因になったり、体臭や口臭になって体の外に出たりすることもあります。

おならは健康の
バロメーター

おならを改善するには、前述のように食生活の改善やストレスの軽減、適度な運動が重要ですが、おならは健康のバロメーターであり、おならに異常がある時はさまざまな病気が隠れていることもあります。
臭いおならが長期間続いたり、おなかに違和感をおぼえたりする時は自分で判断せずに医療機関を受診しましょう。