栄養の

イソフラボンとは?

栄養イソフラボンポリフェノール女性ホルモンエストロゲンアグリコン型

大豆やクズといったマメ科の植物に多く含まれるイソフラボンはポリフェノールの一種です。女性ホルモンであるエストロゲンに似たはたらきをすることがわかっており、ホルモンにまつわるさまざまな不調を整えると言われています。

エストロゲンとは?

エストロゲンは卵巣や卵胞から分泌される女性ホルモンの一種。妊娠に備えるはたらきをします。肌にハリや潤いを与えたり髪を成長させたりするので、美肌ホルモンとも言われています。そのほかにも代謝を良くしたり、血管や骨を強くしたり、さまざまなはたらきをするため、エストロゲンが多く分泌される月経終了から排卵日までの間は女性の体調が安定しやすくなります。
思春期から多く分泌されるようになるエストロゲンですが、更年期以降は分泌量が減ってしまいます。
食べ物や飲み物からエストロゲンそのものを摂取することはできませんが、飲食物に含まれるイソフラボンはエストロゲンと構造が似ているため、植物性エストロゲンとも言われ、エストロゲンと似た作用をもたらすことが知られています。

「エストロゲンとは?」図解

イソフラボンは
何に効くの?

イソフラボンは更年期の不調や骨粗しょう症、乳がんや前立腺がんなどのホルモンが関連する疾患への予防効果が期待されています。
また、多く摂る人ほど乳がんや前立腺がん、脳梗塞、心筋梗塞のリスクが低くなるという研究結果もあります。

イソフラボンは
何に含まれている?

イソフラボンを含む代表的な食品と言えばやはり大豆です。イソフラボンは豆類に含まれる成分ですが、他の植物からも摂取できるため、大豆由来のイソフラボンは『大豆イソフラボン』と表記されることも多いです。

日本には醤油や味噌、豆腐や納豆、きな粉、湯葉など、たくさんの大豆食品があります。豆乳を飲むこともすっかり一般的になりました。また、最近では大豆を肉のように加工したソイミートも普及し始めています。

また、豆腐は中国や韓国、ベトナムなどでも親しまれていますし、インドネシアのテンペやタイのトゥアナオなど、大豆食品は主にアジア圏で食べられてきました。

欧米では、FDA(米国食品医薬品局)が「大豆に含まれるたんぱく質が心臓病の発症リスクの軽減につながる」と認めた1999年以降に大豆ブームが起こり、多くの人が大豆食品を摂取するようになりました。

「イソフラボンは何に含まれている?」図解

イソフラボンを
日常的に
摂取している日本人

日本では多くの大豆食品が日常的に摂取されており、日本人は欧米人よりも大豆食品由来のイソフラボン摂取量が多い傾向にあると考えられます。

平成14年(2002年)の厚生労働省による国民栄養調査では、平均的な15歳以上の日本人が大豆食品から摂取しているイソフラボンの量は一日当たり18mgです。この摂取量は昭和50年(1975年)の調査から大きな変化がなく、日本人のイソフラボン摂取量はほぼ変わっていないと考えられます。

吸収しやすい
アグリコン型

成分表記に『大豆イソフラボンアグリコン』と記載されていることがあります。

食品に含まれる大豆イソフラボンは、主に糖が結合した配糖体という形をしていますが、配糖体から糖が外れたものを大豆イソフラボンアグリコンといいます。配糖体のままでは体内に吸収されませんが、腸内細菌などのはたらきで糖が外れ、アグリコン型のイソフラボンに変換されると体内に吸収され、機能を発揮します。

アグリコン型のイソフラボンは味噌や納豆などの大豆発酵食品に含まれています。
最近では、大豆イソフラボンアグリコンを含む発酵豆乳なども登場しています。

イソフラボンはたくさん
摂っていいの?

「特定保健用食品などに含まれるイソフラボンをいつもの食事に加えて摂る時には、特定保健用食品に含まれる大豆イソフラボンアグリコンの量を1日に30mg以内におさえましょう」という注意喚起が食品安全委員会からなされています。また、お子さんや妊娠中の方には普段の食生活に加えて摂ることは推奨されていません。一方で、大豆食品そのものの安全性に問題はありません。

発酵食品や飲料、調味料などさまざまな顔を持つ大豆食品はいろいろな献立に活用できますから、毎日おいしく、楽しく、バランスの良い食事からイソフラボンを摂取していきたいですね。