
乳酸菌の
プロバイオティクスとは?
プロバイオティクスとは、FAO(国連食糧農業機関)/WHO(世界保健機関)によると『十分量を摂取したときに宿主(ヒト)に有益な作用をもたらす生きた微生物』と定義されています。代表的なものに乳酸菌やビフィズス菌などがあります。
「有益な作用」って何?
プロバイオティクスのもたらす有益な作用には、腸内の良い菌を増やして悪い菌を減らすことや、下痢や便秘を改善すること、免疫機能や神経系の調節などがあります。
例えば、乳酸菌のひとつである乳酸菌 シロタ株には、生きたまま腸にとどき、腸内の良い菌を増やし、悪い菌の増殖を抑え、おなかの調子を整える整腸作用が認められています。また、低下したNK細胞(免疫細胞の一種)の活性を回復させるはたらきも確認されています。
腸内にはたくさんの免疫細胞がいるため、腸内環境を整えて腸の状態を良好に保つことは免疫機能が正常にはたらくことにつながります。プロバイオティクスは腸の中からすこやかな生活を支えてくれる、健康管理の強い味方なのです。

プロバイオティクスを
生活に取り入れる際の
ポイント
プロバイオティクスは、適切な量を摂取することが重要です。
特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品には1日あたりの摂取目安量が記載されていますので参考にしましょう。また、これらは乳酸菌やビフィズス菌の中でもその有用性が科学的にデータ的にも認められた商品になりますので、表示された機能を確認して利用するのも賢い方法です。
プレバイオティクス
との関係
プレバイオティクスは下記の4つの条件を満たす成分で、オリゴ糖や一部の食物繊維がこれに該当します。
- ① 消化管上部で分解・吸収されない
- ② 大腸に共生する良い菌のエサとなり、それらの増殖を促進する
- ③ 大腸の腸内フローラ構成を健康的なバランスに改善し維持する
- ④ ヒトの健康の増進や維持に役立つ
プロバイオティクスと合わせて、プレバイオティクスを一緒に摂ることがおすすめです。
オリゴ糖は大豆やたまねぎ、ごぼう、バナナなどに含まれています。
食物繊維は水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維の2種類に分けられますが、水溶性食物繊維のうちプレバイオティクスに該当するイヌリンはにんにく、ごぼうやたまねぎに含まれています。またおなじく水溶性食物繊維のβ-グルカンはきのこ類や麦類、海藻類に含まれています。
また、不溶性食物繊維の中にもプレバイオティクスとなるものがあります。
それは、近年注目されているレジスタントスターチです。

注目の
レジスタントスターチ
かつて、でんぷんは小腸で全て消化吸収されると考えられてきたのですが、中には大腸までとどくものがあることがわかってきました。これが注目の成分、レジスタントスターチです。難消化性でんぷんとも呼ばれます。
全粒粉のパン、玄米などに含まれていて、でんぷんを冷やすことで増えるため、温かいごはんよりもおにぎりのような冷えたごはんに多く含まれます。
レジスタントスターチは不溶性食物繊維ですが、水溶性食物繊維のように良い菌のエサとなる特徴があります。

短鎖脂肪酸って何?
短鎖脂肪酸は、食物繊維やオリゴ糖などのエサから良い菌により生み出されるものです。
この短鎖脂肪酸には、大腸のバリア機能を向上させたり、血流によって全身に運ばれて筋肉や肝臓などの他の組織のエネルギー源となったり、免疫反応の制御などさまざまなはたらきがあることがわかっています。
良い菌である酪酸菌がつくり出す酪酸、酢酸菌やビフィズス菌がつくり出す酢酸、プロピオン酸菌がつくり出すプロピオン酸は、短鎖脂肪酸の一種です。プロピオン酸菌は乳酸を食べて育ち、ビフィズス菌を増やすという特徴があるため、乳酸菌やビフィズス菌と相性が良い菌です。
シンバイオティクス
とは?
シンバイオティクスとは、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたものです。シン(syn)には「共に・一緒に」といった意味があり、プレバイオティクスとプロバイオティクスを共に取り入れ、腸内環境を整えることですこやかな生活を送ることができます。
シンバイオティクスは医療の現場でも活用されていて、短腸症候群の患者へのシンバイオティクス投与によって悪い菌が減少し、全身の栄養状態が改善されたり、胆道がん患者へのシンバイオティクス投与によって、悪い菌が減って手術後の感染性合併症が抑制されたりするなどの報告があります。

日々の健康管理のために、プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクスについて理解し、上手に生活に取り入れてはいかがでしょうか。