健康管理の
花粉症とは?
『花粉症』とは、植物の花粉がアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)となって起こるアレルギー症状の総称です。
花粉症を引き起こす植物の花粉には、スギやヒノキ、ブタクサ、イネ科の植物などがあります。
その中でもスギ花粉症は、日本人の4人に1人が発症していると言われています。
- 監修
- AISANクリニック 医学博士・皮膚科専門医 中野章希 先生
花粉症は
アレルギー症状の一種
花粉の飛散時期中心に発症する花粉症は『季節性アレルギー性鼻炎』と呼ばれますが、ハウスダスト、ダニ 、カビ、ペットの毛などによって起こる、季節を問わないアレルギーは『通年性アレルギー性鼻炎』と呼ばれます。
生まれつきアレルギー反応を起こしやすい人は花粉症にもなりやすい傾向にあり、発症には遺伝や環境、免疫機能の乱れなどが関係していると考えられています。
花粉症はなぜ起こる?
花粉は本来、ヒトの体に害を与えるものではありませんが、何らかの要因で免疫機能が異常を起こし、無害な花粉にも反応することで花粉症を発症してしまいます。
ヒトの体には、体内にウイルスや細菌などの異物が入ってきた際にそれらを排除するはたらきを持つIgE抗体が存在しますが、免疫機能が乱れた状態で体内に花粉が入ってくると、免疫細胞によりIgE抗体が過剰に作られます。
再度花粉が体内でIgE抗体と接触すると、アレルギー反応を促進する化学物質、ヒスタミンが放出され、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった花粉症の症状が現れます。
アレルギー反応を
抑える
はたらきを持つ
制御性T細胞
外敵の排除や免疫系の司令塔など多様なはたらきをするT細胞の一種である制御性T細胞(Treg)は、免疫細胞の過剰なはたらきを制御する役割を担っています。
しかし、この細胞の役割が弱まるとアレルギー反応が出やすくなることが分かっています。
乳酸菌の一種(L.プランタルム YIT 0132)を使った発酵果汁飲料による飲用試験では、「くしゃみ」「はなかみ」「鼻づまり」の合計値が、飲用1、2週目においてL.プランタルム YIT 0132を含まないプラセボ飲料を飲用した場合よりも低く、スギ花粉症状が軽減していることが分かりました(図1)。また、発酵果汁飲料を飲んだ場合では、飲用中の血液中の制御性T細胞(Treg)の値が高く、減少が抑えられていました(図2)。
花粉症の対策
「花粉を体内に入れない」「アレルギー反応を抑える」の2つが花粉症対策の基本です。
花粉を体内に入れない対策には、マスクやメガネを装着し、花粉のつきにくい素材の衣服を着用したり、手洗いやうがいなどで体に付着した花粉を落としたり、といった方法があります。
アレルギー反応を抑える薬として代表的なのが抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬です。
また、スギ花粉症、ダニによる鼻炎に有効な治療として、アレルゲンを少しずつ体内に入れることでアレルギー症状を和らげる舌下免疫療法という治療方法もあります。
その他にも、乳酸菌によって免疫機能のバランスを調節して花粉症を改善する研究も進んでいます。
今も花粉症に関するさまざまな研究が進んでいます。
今後、より効果的な予防策や治療方法が生まれることを期待したいですね。