健康管理の

免疫細胞の種類と役割とは?

免疫機能免疫細胞

免疫細胞は病原体などの害をおよぼす異物から体を守るための細胞で、マクロファージやNK細胞などさまざまな種類があります。免疫細胞はそれぞれ専門的な機能を持っていて、リンパ液や血液を循環しながらはたらき、協力して体を守っています。また、リンパ組織は免疫細胞が活動する重要な拠点となっています。

免疫細胞の基本と種類

ヒトの血液は白血球、赤血球、血小板、血漿(けっしょう)といった成分でできています。赤血球は酸素や二酸化炭素を運び、血小板は出血を止める役割を持っており、白血球は免疫を担う免疫細胞です。
白血球にはリンパ球、顆粒球、単球などがあり、リンパ球にはT細胞、B細胞、NK細胞、顆粒球は好中球、好酸球、好塩基球があり、単球はマクロファージと樹状細胞に分化します。

「血液の成分と種類」

リンパ球の種類と役割

T細胞、B細胞、NK細胞のリンパ球は、それぞれが異なる役割を持っています。

  • T細胞
    T細胞は、骨髄で生成された造血幹細胞が胸腺に移動してつくられる免疫細胞です。
    T細胞には大きく分けて「ヘルパーT細胞」「キラーT細胞」の2種類があります。

    ヘルパーT細胞はB細胞やキラーT細胞など他の免疫細胞とコミュニケーションを行い、他の免疫細胞のはたらきを調節する指示役としての役割を持っています。キラーT細胞はがん細胞やウイルス感染細胞を攻撃する免疫細胞です。
  • B細胞
    リンパ球の20〜40%ほどを占めるB細胞は、病原体を排除するための抗体をつくり出す免疫細胞です。病原体が体内に入ってくると、B細胞はヘルパーT細胞と協力して、抗体を作り出す形質細胞へと変化します。
    一度病原体に反応したB細胞は一部が記憶細胞となって体内に維持されます。そのため、次に同じ病原体が侵入してきた時には迅速に対応することができます。予防接種などはこのしくみを利用しています。
  • NK細胞
    NKとはナチュラルキラーの略で、NK細胞は全身をパトロールし、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第攻撃する細胞です。リンパ球の10〜30%程度を占めています。
    NK細胞は活性化型レセプターと抑制型レセプターという2種類のアンテナを持っていて、がん細胞やウイルス感染細胞には活性化型レセプターが反応して攻撃を行いますが、正常な細胞には抑制型レセプターが反応し、攻撃することはありません。
「リンパ球の種類と役割」図解

リンパ球とリンパ組織の関係

リンパ球は血液内だけでなく、リンパ液を巡って全身をパトロールしています。
リンパ液は血液からしみ出た液体で、リンパ管の中を流れ、老廃物などを取り込みながら循環します。リンパ液の中でリンパ球は、感染部位で敵と戦ったり、リンパ組織に運ばれたりします。

リンパ球にとって重要な活動拠点であるリンパ組織はリンパ球が存在する組織や臓器のことです。一次リンパ組織と二次リンパ組織に分けられます。骨髄や胸腺といった、リンパ球がつくられたり増えたりする場所が一次リンパ組織。リンパ節や扁桃腺、脾臓、パイエル板などのリンパ球がはたらく場所が二次リンパ組織です。

顆粒球の種類と役割

白血球の中でも、殺菌作用のある成分を含んだ顆粒を持っている免疫細胞を顆粒球と呼びます。顆粒球には好中球、好酸球、好塩基球があります。

  • 好中球
    好中球は血液中で最も多い免疫細胞です。好中球は感染した部位に真っ先に移動して病原体を食べる役割を持っています。食べ終わった後は破裂し、その際にDNAを網のように放ち、病原体を捕獲することができます。
  • 好酸球
    好酸球は白血球の中でも数%程度しかおらず、寄生虫などの外敵と戦う役割を持ち、アレルギー反応や炎症の制御にも関与している免疫細胞です。アレルギー反応により好酸球が局所に集まることで慢性的な炎症が引き起こされることがあります。
  • 好塩基球
    好塩基球は白血球の1%未満と非常に少なく、寄生虫感染に対する生体防御やアレルギー発症に関与していると考えられていますが、まだそのはたらきについてはわからないことが多い免疫細胞です。
「顆粒球の種類と役割」図解

単球の種類と役割

単球はマクロファージや樹状細胞に分化して異物の除去や情報伝達を行います。血液中に存在する間は単球と呼ばれていて、感染が起きると好中球に続いて患部に駆けつけ、マクロファージや樹状細胞へと変化します。

  • マクロファージ
    マクロファージは体内に侵入した細菌などの異物を食べる免疫細胞で、食べた細菌を消化・殺菌することで細菌感染を防ぎます。また、異物の情報をT細胞に伝える役割も持っています。
  • 樹状細胞
    樹状細胞はその名のとおり木の枝のような突起を持っており、体のいたるところに存在しています。樹状細胞もマクロファージと同じく異物を食べて情報をT細胞に伝えますが、まだ異物と出会ったことがないT細胞(ナイーブT細胞)を活性化させることができるという特徴があります。
「単球の種類と役割」図解

自然免疫「NK細胞」を
さらに活性化するためには?

免疫は生まれながらに備わっている「自然免疫」と、一度かかった病気に再び感染した時に免疫細胞が前にかかった時のことを覚えており、自然免疫で防ぎきれなかった病原体などの異物をすばやく敵だと見極めて攻撃する「獲得免疫(適応免疫)」があります。獲得免疫は後天的なものであり、ワクチンで病気を予防する効果は獲得免疫のしくみを利用したものです。

自然免疫を担う代表的な免疫細胞がNK細胞です。ストレスをためないことや笑うこと、体温を下げないことなどがNK細胞の活性化に有効だと言われていますが、そのほかにも乳酸菌の一種『乳酸菌 シロタ株』を継続摂取することで、低下したNK活性を回復させることがわかっています。

「自然免疫「NK細胞」をさらに活性化するためには?」図解