免疫機能を整える食べ物とは？

よく、病気にならないために免疫機能を「上げる」「高める」などと言いますが、何らかの要因で免疫のしくみが乱れ、通常無害なものに対して過剰に反応することでアレルギーを引き起こしたりします。また、紫外線から肌を守ろうとする免疫細胞のはたらきが高まりすぎて正常な皮膚細胞を壊してしまい、シワの原因になることも。

免疫機能をただ高めれば良い、というものではなく、免疫機能については「整える」「正常な状態を維持する」ことが重要です。

免疫と腸には深い関係があり、体の中にある免疫細胞の半分以上が腸に集まっていると言われています。腸内環境を整えることは免疫機能を正常な状態に維持することにもつながります。

腸内フローラを整える手段として、発酵食品を生活にとりいれると良いでしょう。ヨーグルトや納豆、ぬか漬けやキムチなどはわたしたちの生活に身近な発酵食品です。発酵食品に利用される乳酸菌や納豆菌の一部はプロバイオティクスとして体に良いはたらきをもたらすことが認められています。
また、良い菌を含む食べ物に加えて、プレバイオティクスと呼ばれる、腸内の良い菌のエサになるオリゴ糖や水溶性食物繊維などを一緒に摂ることがおすすめです。

ねぎやにんにく、キャベツなどの野菜、豆類や海藻類、まいたけやしめじ、きくらげなどのきのこ類、バナナやりんごなどの果物などが代表的なプレバイオティクスを含む食品です。また、納豆や長芋、オクラなどのネバネバ食材もプレバイオティクスを含みます。

免疫機能を正常な状態に維持するためには、まずは生命維持に必要な栄養素をバランスよく摂ることが大前提です。その上で腸内フローラを整える食べ物や、免疫機能に関わりのある栄養素を摂取するのが良いでしょう。

生命維持に必要な栄養素には、炭水化物（糖質）、たんぱく質、脂質、ミネラル、ビタミンの五大栄養素があります。五大栄養素のうち、エネルギーになる炭水化物（糖質）、たんぱく質、脂質の3つは三大栄養素と呼ばれています。

五大栄養素の中でも、ビタミンは免疫機能に影響を与えることが知られています。
ビタミンAやビタミンCは粘膜の免疫機能を維持します。ビタミンCには免疫細胞のはたらきをサポートする効果もあります。
ビタミンB₆は免疫細胞の材料となるたんぱく質の代謝をサポートします。ビタミンDは免疫細胞の一つ、マクロファージを活性化するはたらきがあると言われています。

ビタミンAは豚レバーやうなぎ、にんじんやほうれん草、卵やバターなどに含まれます。ビタミンCはレモンやオレンジ、パプリカやさつまいもなどに含まれています。
ビタミンB₆は赤身肉やマグロ、牛レバーやバナナ、さつまいもに含まれており、ビタミンDはサケやサバ、卵黄などに含まれています。

ビタミンは食事で摂る分には、摂りすぎることは基本ありませんが、サプリメントなどで摂る場合には過剰摂取になる可能性があるため、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では耐容上限量が定められているものもあります。

五大栄養素の一つである脂質を構成する脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、不飽和脂肪酸も免疫細胞をサポートすることで知られています。

不飽和脂肪酸とは、植物や魚の油に多く含まれる脂肪酸で、血中のLDLコレステロールや中性脂肪を低下させることで知られています。この不飽和脂肪酸は多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸に分けられ、多価不飽和脂肪酸に該当するのがオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸です。

オメガ6系脂肪酸もオメガ3系脂肪酸も体内でつくることができない必須脂肪酸です。そのため、食品やサプリメントなどで摂る必要があります。

オメガ6系脂肪酸は白血球を活性化したり、血液を固まりやすくしたりといった効果がありますが、オメガ3系脂肪酸には免疫細胞のはたらきを抑えて炎症を鎮めたり、血液を固まりにくくしたりする効果があります。正反対の効果がある脂肪酸ですが、どちらも健康には必要不可欠な存在です。

オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸の理想的なバランスは2：1です。現代人の食生活ではこのバランスが乱れがちで、極端にオメガ6系脂肪酸の割合が増えていると言われています。オメガ6系脂肪酸はさまざまな加工食品に含まれていて減らすことは難しいため、オメガ3系脂肪酸を積極的に取り入れると良いでしょう。

オメガ3系脂肪酸はイワシやサバ、サンマなどの青魚や、アマニ油やエゴマ油、シソ油などに含まれています。近年はこれらの油を使用した加工食品も増えていますから、そういったものを食卓に取り入れるのも良いでしょう。