健康管理の

免疫機能を高める運動とは?

免疫機能運動

免疫機能を正常に維持するためには適度な運動が重要です。運動にはさまざまなものがありますが、バランスよく行うことが重要です。ただし、激しい運動は逆効果になることもあるため、負荷と頻度に注意すべきです。

健康づくりに運動が
役立つ?

すこやかな生活には適度に体を動かすことが大切、というのは誰もがわかっていることですが、なかなか体を動かす機会がなく、運動不足を実感しているという方は多いのではないでしょうか。
日常生活における歩数や運動習慣者の割合が減少傾向にあることなどを踏まえ、2024年1月、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が10年ぶりに改訂されました。

「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、健康づくりにおける身体活動・運動の意義について下記のように記載されています。

「身体活動」とは、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する、骨格筋の収縮を伴う全ての活動を指し、「運動」とは、身体活動のうち、スポーツやフィットネスなどの健康・体力の維持・増進を目的として、計画的・定期的に実施されるものを指す。身体活動・運動の量が多い者は、少ない者と比較して循環器病、2型糖尿病、がん、ロコモティブシンドローム、うつ病、認知症等の発症・罹患リスクが低いことが報告されている。(中略)身体活動・運動は全ての国民が取り組むべき重要課題であるとされている。

「運動」って?

「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」においては、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する活動「身体活動」のうち、日常生活において家事や労働などに伴う活動を「生活活動」、健康や体力の維持・増進を目的としてスポーツやフィットネスなど計画的・定期的に実施する活動を「運動」としています。

推奨される運動量

「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、ライフステージごとに対象を高齢者・成人・子どもに分けて、それぞれの推奨事項について記載しています。
個人差を踏まえて可能なものから取り組むことを前提とし、成人は歩行の場合で1日8000歩程度の身体活動が推奨されています。

3つの基本運動

「有酸素運動」「筋力トレーニング」「ストレッチ」の3つは一般的に「3つの基本運動」と呼ばれており、それぞれ健康の維持に効果があるとされています。

有酸素運動はウォーキングやジョギング、サイクリングなど、酸素を多く使いながら持続的に行う運動のことです。主に心肺機能を高め、疲れにくい体をつくります。ストレス解消にも効果があるようです。

筋力トレーニングは筋トレとも呼ばれる運動で、ウエイトなどを使うトレーニングや、自重トレーニングで筋肉を鍛えます。筋肉量を増やすことで基礎代謝を上げる効果があります。

ストレッチは筋肉を伸ばし、柔軟性を向上させる運動です。筋肉をゆるめ、血行を促進し、リラックスする効果もあります。

3つの基本運動・・・有酸素運動、ストレッチ、筋力トレーニング

運動と免疫の関係

運動と免疫の関係については多くの研究があり、さまざまなことがわかってきています。たとえば、適度な運動をしていると風邪(上気道感染症)にかかるリスクを減らすことができるというJカーブモデルが有名です。

Jカーブモデル

「上気道感染症(風邪)にかかるリスク」図解
  • 運動の量・強度と上気道感染症にかかるリスクはJ型のカーブを描くことからJカーブモデルと呼ばれる。この説によると、激しい運動をする人は、適度な運動をする人や運動不足の人よりも上気道感染症にかかるリスクが高いとされている。(Nieman DC.Med Sci Sports Exerc.1994;26(2):128-139.)

その他にも、1時間未満の運動で免疫細胞のNK細胞が増えるという研究結果もあります。

激しい運動は逆効果?

ウォーキングやストレッチなど適度な運動はすこやかな生活のために必要不可欠なものですが、激しい運動は一時的に免疫機能を低下させることがあります。心拍数が150を超えるような運動や、1時間を超える持久性運動を行う際には注意しましょう。
たとえば、マラソン後などに風邪をひきやすくなることがあります。これは激しい運動がストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールなどを分泌させ、免疫細胞の活動を抑えてしまうためです。

「免疫機能を高める運動」、「免疫機能を下げる運動」図解

激しいスポーツには
乳酸菌?

スポーツ選手たちに乳酸菌 シロタ株を含む飲料を飲み続けてもらった結果、免疫グロブリンA(IgA、抗体の一種で生体防御において重要な役割を果たす)の濃度が維持され、風邪(上気道感染症)の発症リスクが低減することが明らかになっています。
乳酸菌 シロタ株を含まないプラセボ飲料を飲用したグループでは飲用試験期間中に咳などの自覚症状のあった回数が2.1回であったのに対し、乳酸菌 シロタ株を含む飲料を飲んだグループは、1.2回となりました。

ヨガは効果的?

ヨガは、深い呼吸法や静的なポーズによって自律神経を整え、リラックス状態を作り出します。ストレスを軽減することは免疫機能を正常に維持することにもつながります。

また、体温を一時的に上昇させて血流を良くし、リラックス効果のある入浴も同様の効果が期待できます。

注意すべきポイント

運動は、続けることで効果を発揮します。そして、継続するためには個人の体力やライフスタイルに合ったプランをたてることが重要です。いきなり高い目標を掲げずに、まずは気軽にできるウォーキングや軽い筋トレから始め、少しずつ負荷を高めていくと続けやすいでしょう。
ストレスは免疫機能の低下につながりますから、楽しみながら取り入れることがおすすめです。