健康管理の
下痢・便秘とは?
下痢と便秘は、どちらもさまざまな原因によってお通じに不具合が生じている状態のことです。
ヒトの体は、食べたものを胃で消化した後、小腸で栄養素と水分を吸収し、大腸でさらに水分を吸収して固形の便を作り、外へ排出するようにできています。
しかし腸のはたらきが十分に機能していないと、便がゆるくなったり硬くなったりして下痢や便秘を引き起こします。
- 監修
- AISANクリニック 内科専門医/愛知医科大学循環器内科客員教授 中野雄介 先生
下痢とは
便の状態が軟便あるいは水様便で、かつ排便回数が増加する状態が下痢です。腸では、栄養素と水分が吸収された後の食べ物のカスが肛門のほうへ運ばれながらさらに水分が吸収されて、固形状の便が作られますが、その過程で水分が正しく吸収されないと下痢になり、水分が体外に出てしまいます。そのため、脱水症状を引き起こす可能性もあります。
下痢はその要因から主に下記の4つの種類に分けられます。
下痢を伴う病気には感染性胃腸炎や大腸がん、炎症性腸疾患などさまざまな疾患があります。下痢が続くようであれば、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。
便秘とは
便秘には医学的な定義はなく、便秘であると感じる基準は人によって異なります。
便が腸内に滞ることによって排便回数が減る、便が硬く出づらい、毎日出るがすっきりしない……など、排便がスムーズにいかなくなった状態を一般的に便秘と呼びます。男性よりも女性の方が便秘になりやすい傾向があり、便秘の女性の数は男性の約2倍もいるのだとか。
便秘には、病気で腸に狭い部分ができてしまうなどの、構造上の異常で便通が妨げられて起こる『器質性便秘』のほかに『機能性便秘』があります。
機能性便秘は下記の3種類に分けられます。
- 弛緩性便秘:腸の動きが弱く便を十分押し出せなくなる便秘
- 直腸性便秘:直腸の反応が鈍くなり便意を感じにくくなる便秘
- けいれん性便秘:腸の動きが活発になりすぎて便が通りにくくなる便秘
腸内に便が長く残ると、腸内の悪い菌が増える原因となり、腸内フローラのバランスが乱れてしまいます。ストレスや生活習慣、筋力の低下や極端なダイエットによって食事量が減る、などの要因で便秘は起こりやすくなりますが、大腸がんが便秘を引き起こすことも。
何をしても便秘が改善しなかったり、激しい腹痛が長引いたり、といった場合は医師に相談してみるのが良いでしょう。
病気ではないのにおなかの調子が悪い時は?
病気ではないのにおなかの具合やお通じの調子が悪い時には、まずは生活環境を見直してみましょう。適度に体を動かしたり、ストレスをためないようにしたり、普段の生活を見直すことでおなかをすこやかに保ちましょう。
水分や食物繊維、腸内環境を整える乳酸菌やビフィズス菌を含む飲食物を取り入れることでお通じを改善していくこともおすすめです。
また、脳と腸がお互いに影響を及ぼしあうことは脳腸相関と呼ばれますが、この言葉どおり、おなかの調子が悪い時、腸が原因ではない場合もあります。
腸には多くの神経細胞があり、交感神経系や副交感神経系を介して脳とつながっています。脳がストレスを感じるとおなかの調子が悪くなるといったように、脳と腸は双方向に影響し合うことが知られています。