健康管理の

アトピーとは?

スキンケア悪化因子の除去薬物治療皮膚のバリア機能

アトピーとは日本では一般的にアトピー性皮膚炎のことを指します。
アレルギーになりやすい体質を持った人がアトピーになりやすい傾向があり、さまざまな要因が関係して起こる疾患です。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すため、継続的な予防策と治療を行うことが重要です。

監修
AISANクリニック 医学博士・皮膚科専門医 中野章希 先生

アトピーの定義

日本皮膚科学会、日本アレルギー学会によって作成された『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024』によると、「アトピー性皮膚炎は増悪・軽快を繰り返す瘙痒(痒み)のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」と定義されています。

アトピー素因とは「①家族や本人に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎といったアレルギー性疾患の既往歴があること」あるいは「②IgE抗体を産生しやすい体質であること」で、一言で言うと「アレルギーになりやすい体質」のことです。

つまり、アトピー性皮膚炎とはかゆみのある湿疹が現れ、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性的なアレルギー性疾患で、アトピー性皮膚炎にかかる人はもともとアレルギーになりやすい体質を持っていることが多いのです。

なぜアトピーになるの?

アトピー性皮膚炎は、一つの原因によって起こるのではなく、いくつもの要因が関係して起こる『多病因性』の疾患です。アレルギーになりやすい体質や、皮膚のバリア機能の低下、アレルゲン(ダニ、ハウスダスト、花粉など)、疲労やストレスなど要因もさまざまで、症状が良くなったり悪くなったりする条件も人によって異なります。

人間の皮膚には本来、外からの刺激や異物の侵入を防いだり、体内の水分が皮膚から出ていかないようにしたりするバリア機能が備わっています。アトピー性皮膚炎はこのバリア機能が低下し、外から異物が侵入しやすくなることでアレルギー反応を引き起こしてしまいます。

多くのアトピー性皮膚炎は乳幼児・小児期に発症し、成長するにつれて治っていく方が多い傾向にあります。しかし、大人になっても症状が続く人や、一度治って再発する人、大人になってから発症する人もいます。

アトピーの予防と治療

アトピー性皮膚炎の予防には、紫外線対策をはじめ、アレルゲンに接触しないように生活環境を整備することや、保湿によって皮膚のバリア機能を正常に保つ、爪でかきむしらないようにするなどの対策があります。

アトピー性皮膚炎の治療は、「スキンケア」と「悪化因子の除去」による予防に加え、皮膚の炎症を抑える「薬物治療(外用薬、内服薬、注射製剤)」が基本で、いずれも継続的に行うことが重要です。

最近は免疫調節機能を持つ乳酸菌によるアトピー性皮膚炎の研究も行われています。また腸と皮膚には、脳腸相関のような密接な関係性を指摘する研究もあり、この「腸皮膚相関」の考え方から、腸の調子を整えることは、皮膚にも良い影響を及ぼすと考えられています。

皮膚と乳酸菌の
関係性とは?

L.プランタルム YIT 0132を含む乳酸菌発酵果汁飲料による飲用試験では、軽度から中程度のアトピー性皮膚炎の自覚症状がやや軽減したという結果が出ています。L.プランタルム YIT 0132はその他のアレルギー症状への効果が期待できる結果もあり、今後、さらに研究が進むことが期待されます。

アトピー性皮膚炎に対する治療法は日々進化しており、適切な治療によって症状の改善が期待できます。良くなったり悪くなったりを繰り返す疾患であることから自己判断はせず、医師の指示を守って継続的に治療していくことが重要です。